―[新日本プロレス社長・棚橋弘至のビジネス奮闘記~トップロープより愛をこめて]―

新日本プロレスの人気プロレスラーにして「100年に一人の逸材」と言わしめ、プロレスラーを引退したばかりの第11代社長(’23年12月就任)棚橋弘至が、日々の激務のなかでひらめいたビジネス哲学を綴っていく。今回は「モチベーションの保ち方と仕事のやりがい」について。
棚橋社長はいったいどんな結論に至ったのか。(以下、棚橋弘至氏の寄稿)

vol.78 「視点の切り替え」が、棚橋弘至流モチベーション維持術

 某日、私は国土交通省へ赴き、水嶋智事務次官と熱いトークセッションを交わしてきました。

 今回、社長としての新たな試みの一環で、国交省の若手職員の皆さんに向けてお話しさせていただく機会をいただきました。

 テーマは「モチベーションの保ち方」と「仕事のやりがい」について。

新日本プロレス社長・棚橋弘至が国交省で熱弁「もし皆さんの仕事...の画像はこちら >>
 国交省の仕事は多岐にわたり、道路や鉄道の整備、河川の管理、航空、観光、災害対策まで、この国の骨格を維持する業務ばかり。

 しかし、これらは「普通に機能していること」が当たり前とされる世界。電車の遅延や道路の渋滞が起これば批判されますが、時間通りに動き、安全に通行できる、運行されている日々に感謝されることはあまりないのです。

 国民の皆さんからは、その膨大な努力のほとんどが見えない。まさに「究極の縁の下の力持ち」なのです。

 セッションの中で、私は若手職員の皆さんにこう伝えました。

「もし皆さんの仕事が一日でもストップしたら、日本は一瞬で停滞する」

 誰にも気づかれないということは、それだけ完璧に社会のインフラが守られている証拠なのです。「これって、すごいことですよね!」と。

……とはいえ、人間です。
誰にも評価されない、成果が見えにくい仕事が続けば、モチベーションを保つのは難しいものです。

「自分は一体何のために働いているのだろう」と悩む若手も少なくないはず。

 そこで僕は、モチベーションを上げるための「視点の切り替え」を提案しました。

 それは、目の前のタスクの先にある「誰かの笑顔」を想像すること。

 例えば、ただの道路の補修ではない。その道路が綺麗になることで、救急車が1分早く病院に着き、救われる命がある。物流のトラックがスムーズに走り、明日誰かが楽しみにしている荷物が無事に手元に届く。

 仕事のモチベーションの保ち方は、自分の仕事の先に何が待っているのかを想像すること。その点で言うと、プロレスラーはファンの皆様の歓声の大きさがバロメーターだったので、わかりやすかったですね!

新日本プロレス社長・棚橋弘至が国交省で熱弁「もし皆さんの仕事が一日でも止まったら、日本は一瞬で停滞する」
水嶋事務次官は新日本プロレスのジャージとTシャツ姿。プロレス愛が強い! ©新日本プロレス
 今回のセッションは、社長である僕にとっても新鮮な挑戦であり、大きな学びとなりました。

 目立たなくても、誰に褒められなくても、自分の仕事に誇りを持つこと。

 これこそが、すべてのビジネスパーソンに必要な強さ。今回のトークセッションで、そう感じました。


 日本の土台を支えてくれている国交省の若い「縁の下の力持ち」たちに、心からの感謝を。

 さぁ、僕も、締め切りから2日過ぎているこの原稿を書き終えられるように、まずは、インフラを整備しますね(笑)。

今週のオレ社訓 ~This Week’s LESSON~

目立たなくても、誰に褒められなくても、自分の仕事に誇りを持つ!

<文/棚橋弘至 写真/©新日本プロレス>

―[新日本プロレス社長・棚橋弘至のビジネス奮闘記~トップロープより愛をこめて]―

【棚橋弘至】
1976年生まれ。新日本プロレスの第11代社長(’23年12月就任)。’26年1月4日を以て現役を引退。キャッチコピーは「100年に一人の逸材」
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