柔道整復師のshuheiと申します。現在は表参道で整骨院を経営するかたわら、これまでトップアスリートやアーティストら5万人以上の施術を担当してきた経験をもとに、腰痛や肩こり、姿勢改善など多くの方にとって身近な健康に関する情報をSNSで発信しています。

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夏のパフォーマンスは上がらない根本原因

 連日の酷暑。うだるような熱気の中、冷房の効いたオフィスへ逃げ込み、キンキンに冷えたアイスコーヒーを一気に流し込む。そして、夜は「暑いから」と冷たいビールとそうめんで済ませ、シャワーだけ浴びてベッドに倒れ込む――。もしあなたがこんな生活を送っているなら、今すぐ立ち止まってください。

 表参道で治療院を営み、数多くの最前線で闘うビジネスパーソンたちの体を診ている柔道整復師として、そして東洋医学をベースに身体構造をハックする専門家として、あえて厳しいことを言わせてもらいます。

 あなたが感じているその「だるさ」「食欲不振」「朝起きられない」といった症状は、単なる「夏バテ」ではありません。医学的・生理学的に言えば、「自律神経の過労死寸前(システムエラー)」です。

 ビジネスの現場では、リスクマネジメントや数字の分析には徹底的にこだわるのに、資本である自分の体のメカニズム(エビデンス)には無頓着な人が多すぎます。AIのように疲れを知らない体を手に入れることは不可能ですが、体のプロフェッショナルが実践する「正しいエビデンスに基づいたリカバリー戦略」を知れば、夏のパフォーマンスは劇的に変わります。

 今回は、巷に溢れるフワッとした健康法ではなく、解剖生理学と東洋医学のハイブリッド視点から、絶対に嘘のない「真の夏バテ対策」をお伝えします。

なぜあなたは夏に「ぶっ倒れる」のか?

冷房・冷たい飲み物・寝だめが「夏のダルさ」を悪化させるワケ
夏バテ
 結論から言います。夏バテの正体は「暑さ」そのものではありません。「寒暖差による自律神経の異常なエネルギー消耗」です。

 人間の体は、常に体温を36度前後に保つようにプログラミングされています。
これを「ホメオスタシス(恒常性)」と呼びます。猛暑の屋外に出れば、自律神経は血管を拡張させ、汗腺を開き、必死に熱を逃がそうとします。しかし、次の瞬間、冷房が26度に設定された電車やオフィスに入ると、今度は急激に血管を収縮させ、熱を逃がさないようにフル稼働します。

 この「拡張」と「収縮」のスイッチを、1日に何度もしかも極端な温度差の中で強制的に切り替えさせられるのが現代の夏です。自律神経(交感神経と副交感神経)の切り替えには膨大なエネルギーを消費します。結果として、脳の自律神経中枢に酸化ストレスが蓄積し、「細胞レベルでの疲労」が引き起こされます。これが医学的な夏バテのメカニズムです。

 さらに、東洋医学の視点を加えましょう。東洋医学では、夏は「湿気」と「熱」が体に侵入し、消化吸収を司る「脾胃(ひい=胃腸系)」を直撃する季節だと考えます。自律神経が疲弊すると、胃腸への血流が低下します。そこへ冷たい飲み物やアイスを流し込むと、胃腸の温度は急降下し、消化酵素の働きは完全にストップしてしまいます。

「疲れたからスタミナをつけよう」と焼肉を食べても、栄養を吸収する「胃腸の機能(脾胃)」が死んでいれば、それはただの胃もたれ製造機でしかないのです。


エナジードリンクは「前借りの負債」

 では、どうすればこの自律神経のバグを修正できるのでしょうか。エナジードリンクでカフェインと糖分をぶち込み、交感神経を強制的に叩き起こすのは、「高金利の借金」をしているのと同じです。いつか必ず破綻します。体のプロが推奨する、エビデンスに基づいた3つの戦略を実践してください。

戦略①入浴による「深部体温コントロール」で睡眠の質をハックする

「暑いからシャワーだけで済ます」――これが自律神経を破壊する最大の悪習です。睡眠のメカニズム上、人は「上がった深部体温が下がるタイミング」で最も深い眠り(ノンレム睡眠)につきます。

 シャワーだけでは体の表面しか温まらず、自律神経のスイッチが交感神経(緊張・興奮)から副交感神経(リラックス・修復)へ切り替わりません。

【具体的なアクション】
 38~40度の「ぬるめのお湯」に、最低10~15分間、肩までしっかり浸かることです。これにより、末梢血管が拡張し、一時的に深部体温が上がります。お風呂上がりから約90分後、上がった深部体温が急降下していくタイミングでベッドに入ります。

 これが細胞を修復する成長ホルモンをドバドバ分泌させ、翌朝のパフォーマンスを最大化する唯一のハックです。もうワンポイント欲しい時は、湯船に無添加マグネシウムを入れると体のコリまでほぐれます。

戦略②「糖質スパイク」を避ける戦略的・水分補給

 夏バテ時に最もやってはいけないのが、「冷たいスポーツドリンク」や「甘い炭酸飲料」のガブ飲みです。
これらには大量の精製糖が含まれています。

 疲労した空腹時にこれらを流し込むと、血糖値が急上昇(スパイク)し、その後インスリンの過剰分泌によって血糖値が急降下します。この乱高下こそが、午後の猛烈な眠気やダルさ、イライラの原因です。

【具体的なアクション】
 水分補給は「常温の麦茶」か「水」を基本とします。麦茶は東洋医学的に体の余分な熱を冷ます「清熱作用」があり、ノンカフェインのため利尿作用による水分喪失も防げます。

 また、汗で失われたミネラル(塩分など)の補給には、スポーツドリンクではなく「常温の味噌汁」や「梅干し」を活用してください。発酵食品である味噌は、弱った胃腸(脾胃)の働きを助ける最強のサプリメントでもあります。

戦略③「第2の心臓」を稼働させる物理的アプローチ

 整骨院の先生として患者さんの体を触る時、夏バテが深刻な人ほど「ふくらはぎ」がガチガチに硬く、冷え切っています。ふくらはぎは「第2の心臓」と呼ばれ、重力に逆らって血液を心臓へ送り返すポンプの役割を果たしています。

 冷房の効いた部屋で長時間デスクワークをしていると、このポンプ機能が停止し、下半身に血液と老廃物が滞留します。血流が悪化すれば、自律神経に十分な酸素と栄養が届きません。

【具体的なアクション】
 仕事中、1時間に1回は必ず「かかと上げ運動(カーフレイズ)」を20回行ってください。
また、足首を大きく回すだけでも構いません。ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)を物理的に動かし、ミルキングアクション(乳搾りのような筋肉の収縮・弛緩)を発生させることで、全身の血流を強制的に循環させます。

 これは、手ごろな近所のマッサージに行くよりも遥かに即効性のある自己投資です。余裕があれば上下のタイミングで腕も振って、強度をアップさせましょう。

体はビジネスマンにとって「最大の資本」である

冷房・冷たい飲み物・寝だめが「夏のダルさ」を悪化させるワケ
夏バテ
 AIがどれだけ進化し、業務を効率化してくれたとしても、最終的な意思決定を下し、ビジネスを前に進めるのは「あなた自身の体と脳」です。

「ちょっと疲れているだけ」「週末に寝だめすればなんとかなる」という甘い認識は、今日限りで捨ててください。日々の寒暖差によって削られた自律神経のダメージは、確実に見えない負債として蓄積され、あなたの寿命とパフォーマンスを縮めています。

 体のプロフェッショナルからの最初の処方箋はシンプルです。

「ぬるめの湯に浸かり、常温の水分とミネラルを摂り、ふくらはぎを動かすこと」

 一流のビジネスパーソンは、自分の体をコントロールする術を知っています。今年の夏は、ただ暑さに耐えるだけの敗者にならないでください。

 体のメカニズムを理解し、戦略的にリカバリーを遂行する勝者でありましょう。あなたの体はあなたが思っている以上に、正しく扱えば必ず応えてくれるのですから!!!

【shuhei】
柔道整復師(国家資格)。
5万人以上の施術経験、大相撲、女子ゴルフ、ラグビー、アーティストライブサポートなどのトレーナーを担当。現在は表参道、上野で著名人来院多数の店舗を構え、温熱施術を中心とするベストリ式温熱整体を考案し、腰痛肩コリのみならず冷え性、睡眠障害、姿勢の調整をおこなっている
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