毎年秋の発表会では、メインストリームiPhoneの最新モデルが発表されるのが恒例となっている。
さて、Appleが満を持して投入した最新モデルiPhone Duoの紹介映像を眺めていると、頭の中に「?」がいくつも浮かんでは消える。我々日本のiPhoneユーザーと、ターナスCEO率いる新たなAppleとの間には、大きな感覚のズレがあるようにも思えるのだ。
そこで今回は、この新製品に触れつつ、iPhoneにこだわってきたユーザーの“身の振り方”についても考えてみたい。
新製品「36.5万円」の衝撃!!
その最大の理由はもちろん価格だ。256GBモデルで364800円、2TBのストレージを内蔵したモデルでは574800円という価格設定は、これまでiPhoneの価格帯を大きく上回っている。
2022年に急激な円安が到来して以来、5年にわたって日本では「iPhoneが高すぎる」と感じるユーザーが増えているが、この新製品に関しては、為替相場がどうこうという問題ではない。ほとんどの欧米人にとっても高すぎる価格設定だからだ。
フォルダブルはやっぱり不人気?
サムスンを含めほとんどのメーカーが、構造が複雑なフォルダブル端末を“高級機”として発売しているが、統計によればスマホ市場の1%程度を占めるに過ぎない。町中で目にする機会が少ないのは、消費者が、それだけの高い値段でフォルダブルを買う必要を感じていないからだろう。
逆に、日本で需要が高いのが、片手ですべての操作を行える小型のスマートフォンである。iPhone SE(第2・第3世代)などは、小さめのサイズと求めやすい価格が愛され、好調なセールスを記録した。海外では失敗作と見なされるiPhone 12 miniやiPhone 13 miniも、本邦に限っては愛用者が多い。
さて、新製品のiPhone Duoを折りたたむと、メインストリームのiPhoneよりも一回り小さなサイズに早変わりする。
これでは、満員電車で片手操作するような使い方には向いていない。何のための小型モードか理解に苦しむが、つまるところ、iPhone Duoを活用できるのは、価格やサイズを考えると、かなり限られた層向けの商品であることは間違いない。まさに“貴族のスマホ”だ。
iPhoneが選択肢から消える日
仮にiPhone Duoを一部の高所得層向けモデルと割り切るとしても、iPhoneユーザーの受難は続いている。iPhone SEの後継として注目されていたiPhone 16e(25年2月発売)が期待外れの価格だったほか、iPhone 17などの現行機種は本日、世界同時に値上げが発表された。これでは、スマホの新調をいつまで後回しにすればいいのかわからない。
iPhoneが高すぎるため、安価なAndroidスマートフォンに乗り換えるユーザーが出始めている。エントリーモデルなら3万円前後、ミッドレンジ(中級)でも5万円台で立派な最新機種が手に入るのは、Androidならではの強みだ。アップデートサイクルの違いから、iPhoneと比べると製品寿命が短い傾向にあるが、それでも総合的なコスト・パフォーマンスは悪くない。
また、2025年2月にiPhone SE(第3世代)が販売を終了して以来、Appleは“片手持ち”で使えるサイズのiPhoneを製造していない。したがって、小型スマホを求めるなら、Androidも有力な選択肢になる。
Androidでも“片手持ち”ができる機種はごく少数だが、中国の「Unihertz(ユニハーツ)」社が展開する「Jelly」シリーズなど、小型モデルもいくつか発売されている。
“iPhone一強”に終わりの兆し
長らく、日本人が使うスマホの3台に2台はiPhoneだった。iPhoneの全世界でのシェアは約20%、アメリカでも約50%なので、日本人のiPhone志向は際立つ数字となっていた。ところが最近では、iPhoneのシェアが減って5割台になり、iPhoneよりもAndroidスマートフォンのほうが多く売れる月があったりと、潮目が変わり始めている(OS単位での比較であり、メーカーごとの比較では依然Appleの一強状態だが)。
ところで、一定以上の世代の日本人には“Androidアレルギー”のようなものがある。ドコモからiPhone 5sが発売された2013年9月よりも前、日本国内のメーカーは競ってAndroidスマホを量産していたが、動作の重さや不安定さなど、完成度に難のある機種も少なくなかった。この時期に抱いたAndroidへの悪印象は、現代に至るiPhone志向と無縁ではないはずだ。
それでも今の価格設定では、いつまでiPhoneを使い続けられるかわからない。古いiPhoneを使い続ける選択肢もあるが、高価格化したiPhoneに迷っている人は、最新のAndroidスマホを一度店頭で触ってみてもいいかもしれない。
<TEXT/ジャンヤー宇都>
【ジャンヤー宇都】
「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 ~オタク過密時代の植生学~』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆
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