ニュースなどで頻繁に取り上げられる「あおり運転」。被害者の精神的苦痛は深刻であり、トラウマにもなりかねない。

 自動車損害保険を扱うチューリッヒ保険の『2026年あおり運転実態調査』によれば、5年以内にあおり運転をされたことがあるドライバーは36.3%であった。また、遭遇したあおり運転の内容は、「後方から激しく接近された」が最多で、86.5%。あおり運転に遭った際の対処方法は、「道を譲った(52.5%)」、「何もしなかった(30.3%)」が上位を占め、あおり運転に遭遇しても、冷静に対応するドライバーが目立つことがわかった。

 今回は、“あおり運転”と思われる危険な行為に遭遇しながらも、思わぬ結末に気持ちがスカッとしたという2人のエピソードを紹介する。

約4キロにわたって続いた不審な運転

「もしかして、わざと?」急加速と急減速を繰り返す車…女性が帰...の画像はこちら >>
 今から1年ほど前、仕事で客先へ向かうため、社用車を運転していた佐藤美帆さん(仮名・30代)。片側一車線の道を走っていると、前方の車の様子が“おかしい”ことに気づいた。

「前にはほかの車がいないのに、必要以上にゆっくり走っていたんです。かと思えば急に加速して、また急ブレーキ気味に減速して、それを何度も繰り返していました」

 佐藤さんは、前方の車との距離に注意しながら、時速20キロほどで走っていたという。しかし、一本道が続いており、なかなか退避できる場所もない。次第に後続車も増え、数珠つなぎの状態になっていった。

「約4キロの道を走るのに15分以上かかりました。あまりにも長く続くので、『もしかして、わざとやってる?』と感じるようになりました」

 このまま後ろを走り続けるのは危険だと考えた佐藤さんは、近くにあったコンビニへ入って距離を置くことにした。買い物を済ませ、コンビニを出た佐藤さん。
しかし、駐車場で思いがけない光景を目にする。

「さっきの車も止まっていたんです。しかも、運転手が車の中から私のほうを見ているように感じて……。睨まれているみたいで怖かったですね」

 とはいえ、客先との約束の時間が迫っていたため、佐藤さんは急いで車を発進させた。

用事を終え、コンビニの前を通ると…

 そして数分後、目的地に到着した。客先での用事は15分ほどで終了し、その後、帰路についた佐藤さんは、先ほど立ち寄ったコンビニの前を通りかかった。

 すると、駐車場では先ほどの車が停車したままで、近くにはパトカーもいたそうだ。先ほどの車の運転手と警察官が話をしていたという。

「もしかして、わざと?」急加速と急減速を繰り返す車…女性が帰り道で見た“スカッとする光景”
※画像は生成AIによるイメージです
「どのような経緯で警察が呼ばれたのか、私にはわかりませんでした。ただ、一本道で後続車が何台も巻き込まれていたので、誰かが危険を感じて通報したんだと思います」

 佐藤さんも、危険な運転をされて腹が立っていた。しかし、仕事中だったため何もできなかった。それだけに、警察官が対応している光景を目にしたときは、張り詰めていた気持ちが少しだけ晴れたそうだ。

追い越したトラックが突然クラクションを連発

「もしかして、わざと?」急加速と急減速を繰り返す車…女性が帰り道で見た“スカッとする光景”
※画像は生成AIによるイメージです
 配達ドライバーとして働いていた田村隆志さん(仮名・60代)は、仕事中に遭遇した危険運転が、今でも記憶に残っている。

 その日も荷物を届けるため、トラックを運転していた。
とくに急いでいたわけではなく、安全運転を意識しながら走っていると、後方からやってきた1台のトラックが、田村さんを追い越していったそうだ。

「追い越すだけなら何とも思わなかったんですけど、その直後から何度もクラクションを鳴らしてきたんです」

 さらに、前方に出たトラックは、車体を左右に振るような蛇行運転まで始めたという。

「とにかく危ないので、巻き込まれないように十分に車間距離を取っていました」

 田村さんは相手に反応せず、距離を保ちながら走行し続けた。すると間もなく、前を走るトラックに異変が起きたという。

「荷台から段ボールが道路に落ちたんです。あれだけ危ない運転をしていたので、『やっぱりな』と思いました」

助手席の女性が激怒…そのまま車を降りて

 しかし、思わぬ出来事はそれだけではなかった。前方のトラックの助手席には女性が乗っていたようで、やがてトラックが停車すると、助手席の女性が勢いよく車を降りた。

「運転手に向かって大声で怒鳴っていました。それから、そのまま歩いて行ってしまったんです」

 つい先ほどまでクラクションを鳴らし、蛇行運転を繰り返していた運転手。その結果、荷物を落としたうえで、同乗していた女性からも厳しく責められることになった。

「危険な運転をしなければ、荷物を落とすこともなかったでしょうし、奥さんなのか恋人なのかはわかりませんが、同乗していた女性と言い争うこともなかったのかもしれません。危険運転のバチが当たったんだなと思いました」

 その後2人がどうなったのかはわからない。
それでも、一部始終を見ていた田村さんは、少しだけ気持ちがスカッとしたという。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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