女優の増田有華がこのほど、俳優の水野勝、脚本家で演出家の矢島弘一氏とスポーツ報知の取材に応じ、東京マハロリバイバル公演の主演舞台「明日、泣けない女。昨日、甘えた男」(3~11日、東京・新宿シアターサンモール)の抱負を語った。
北海道・襟裳岬を舞台に病を抱えて苦しむ女性と周囲の男性たちの物語。元AKB48でNetflixドラマ「全裸監督」のAV女優役で注目された増田は性依存症に悩む主人公を演じる。「最近は風俗嬢役とか、性関係の役が多いですが、主演で呼んでいただいて光栄です。自分が納得するもの、カンパニー全体が納得するものにしたい」と気合をみなぎらせている。
性依存症の役柄に抵抗はない。「何かに依存するのは誰しもあること。タブー視する必要はないし、演劇だからこそ、表現できることがある」と意欲的だ。観客には「重いテーマだと思われるかもしれないけど、気負うことなく、気軽に見に来てほしい。男性、女性それぞれ共感するポイントが違うし、いろんな人に感情移入して楽しんでもらえたら」と呼びかけた。
稽古期間は1か月弱。最初の10日間をディスカッションに費やした。「役柄について、みんなで探り合って、いい時間を過ごすことができました」。
歌とダンスでファンを魅了していたアイドル時代から一転、現在は小劇場の演劇に熱中している。昨年は舞台7本に出演し、「1年中、(演劇の聖地である)下北沢にいた感覚。芝居が緻密(ちみつ)に作られていることに感銘を受けて、今はひたすら小劇場の演劇にはまっています。みんなで作り上げる過程に運命を感じる」と充実感を漂わせる。
増田演じる主人公の幼なじみで恋心を抱く漁師役の水野は「不安になるくらい、芝居の手応えがない。こういう感覚で芝居ができているのは矢島さんのマジックだと思う」と新鮮な感覚を味わっている。矢島氏は「作品を作る人間は常に不安しかないものですが、今回は稽古を通じて一体感を感じる。作品のクオリティーには自信があります」と完成度に太鼓判を押した。(有野 博幸)