大相撲夏場所(11日初日、東京・両国国技館)を前にした横綱審議委員会の稽古総見が2日、国技館で一般公開によって行われ、約5500人が来場した。先場所覇者で初の綱取りに挑む大関・大の里(24)=二所ノ関=は、横綱・豊昇龍(25)=立浪=らと16番取って6勝10敗といまひとつの内容。

本場所での対戦成績が1勝5敗(不戦勝除く)と苦手な豊昇龍には1勝8敗と不安が残った。先場所途中休場の豊昇龍は22番で18勝4敗と好調をアピールした。

 約5500人の来場者の前で、調整遅れを露呈してしまった。大の里は、何度も唇をかみしめた。母・中村朋子さん、妹・葵さんも訪れ、綱取りに向けて絶好のアピールの場だった稽古総見で16番取って6勝10敗。「稽古不足。上半身と下半身がバラバラだった」。本調子には程遠く、反省が口をついた。

 1日の二所ノ関一門の連合稽古を体調不良で欠席し、相撲を取る稽古は6日ぶり。綱取りに向けた大きな壁、横綱・豊昇龍には6連敗を含む1勝8敗と低調な内容だった。相手の低い立ち合いに押し込まれ、受け身に回る場面が目立った。勝ったのは、得意の右差しで寄り切った1番だけで「ぶっつけ本番に近い形だった。

少し焦りがある」。本場所で過去1勝5敗、4月に茨城・常総市で行われた巡業でも6連敗を含め4勝9敗と、苦手とする豊昇龍攻略の糸口はつかめていない。

 体調不良の詳細は明かさず、昭和以降では羽黒山、照国を抜き最速となる初土俵から所要13場所での横綱昇進へ、不安は募る。八角理事長(元横綱・北勝海)は「今日はアピールに欠けた。必死さがなかったように見えた」と、物足りなさを指摘した。

 一方で、八角理事長は「本場所に行くと力を出す力士。稽古場より、本場所で集中力のある立ち合いをする」と期待する。大の里も「場所直前ではなく、逆に今で良かった。あと1週間で何ができるかが鍵」と前を向く。最速横綱へ、大器の底力が試される。(山田 豊)

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