◆バレーボール ▽大同生命SVリーグ男子 チャンピオンシップ決勝第1戦 サントリー3―2愛知(3日、東京・有明アリーナ)
2戦先勝方式のチャンピオンシップ(CS)決勝が行われ、男子第1戦は高橋藍(らん、23)を擁するレギュラーシーズン(RS)2位のサントリーが、同4位の愛知に0―2からの大逆転で先勝。初代王者に王手をかけた。
最後に笑ったのはサントリーだった。3時間25分にも及ぶ死闘は、0―2の第3Sから3連続で取って決着をつけた。第5Sの最後は、愛知・宮浦健人(26)のスパイクを味方ブロックが止めて逆転勝ち。この日、12得点したエースの藍は仲間と抱き合い、「しんどい試合だったが、最後まで諦めずに戦い抜いたから、勝つことができた」と大きな1勝をかみしめた。疲労感は吹っ飛び、1万1487人の大歓声に応えた。
エースが苦境からはい上がった。最初の2セットは愛知の強烈サーブに苦しみ、終盤に4点差をつけられて連取された。藍もサーブレシーブではじかれ、焦りが出た。第3S中盤にはバックアタックを止められるなど攻守で精彩を欠き、ベンチに下げられた。
1セットを奪い返し、続く第4S18―22。劣勢の場面で藍は再び出番を得た。「外から見て冷静になった。一度、マインドをリセットしてファイトしよう、自分のプレーをやろうと思った」。それまで封じられたバックアタックを決めるなど息を吹き返した。
勝負の第5Sは15―15でレフトから強打を決めて「ブラボー!」と叫んだ。攻めの姿勢を取り戻し、「自分のプレーを出せたのが大きい。自分を信じて、1点を取り切ることに集中した」と胸を張った。
藍は主軸としての責任感を常に意識してきた。前週のCS準決勝は第3戦までもつれ、「疲労でメンタル面もしんどかった」と振り返った。
初代王者まであと1勝。「次につながるいい勝ち方ができた。もちろん、次で決めたい」と藍。苦しんだ先に悲願の日本一がある。(宮下 京香)