歌手の南こうせつ(76)が4日、東京・日比谷野外大音楽堂で恒例の野外コンサート「グリーンパラダイス」を開催した。

 自然とのふれあいを大切にする南が、音楽を通じて都会で減りつつある緑の大切さを伝えようと1992年から毎年、4月29日の「みどりの日」(現・昭和の日)か5月上旬に多彩なゲストを招いて行ってきたライフワークともいえるコンサート。

23年以来、2年ぶり32回目の開催となる。

 心地よいそよ風が野音を吹き抜ける絶好のライブ日和に、南の優しい歌声が響き渡った。野音は今年10月に改修工事に入る予定で、「グリーンパラダイス」は今回が改修前最後となる。「何十年もこのステージに立ってきた。生き残った皆さんと、思い出を作りたい」と2800人の客席に向かって呼びかけ、代表曲「神田川」など17曲を披露した。

 南にとって、野音は青春の代名詞だ。「新緑の中で歌うと、当時の青春がよみがえる。上京したときは、ここで立って歌うことが憧れだった。1人だけでは客席を埋められないから、いろんなアーティストたちと集まって、ライブをやった。切磋琢磨(せっさたくま)したのが懐かしい。青春の聖地。皆さんの目も少年少女に戻っている」。

改修前最後のグリーンパラダイスをかみしめながら味わった。

 予定していた披露曲が終わってもなお、客席からは「こうせつコール」が鳴りやまず、南は「(野音は)午後8時を過ぎてもライブをしているとすごく怒られる。でも、僕が始末書をかくから、やろう!」と、予定になかった「僕の胸でおやすみ」も急きょ熱唱。「みんなありがとう!」と約10秒頭を下げて、ライブ開催を感謝した。

 野音が改装完了するのは2029年と見込まれている。南が新築の会場に立つ時は80歳を迎える。「厳しいな。高いキーを出すのが難しくなっていると思う。加山雄三さんだって、まだまだライブをやれると思っていたけど、85歳でコンサート活動を引退した。僕が80歳だと、よぼよぼの『神田川』になるかも」と苦笑い。それでも、「ギリギリかもしれないけど、それを希望に活動するのは良いかも。改修後のこけら落とし公演に手を挙げたいね」と傘寿での野音を見据えた。

編集部おすすめ