◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇井上尚弥(8回TKO)ラモン・カルデナス●(4日=日本時間5日、米国ネバダ州ラスベガス T―モバイル・アリーナ)

 【ラスベガス(米ネバダ州)4日=勝田成紀】世界4団体スーパーバンタム級統一王者・井上尚弥(32)=大橋=が、挑戦者のWBA世界同級1位ラモン・カルデナス(29)=米国=に8回45秒TKO勝ち。世界戦11連続KO勝利を飾った。

 「しっかりとボクシングを見せた上で、中盤ノックアウトというのは自分の中でも一番いい形の試合の終わらせ方と想定しているが、まずは日本で見せているパフォーマンスを一番に考えて、アメリカのお客さんにしっかりとボクシングをお届けしたい」と決意表明してリングに向かった井上。初回からジャブを突き、前に出てプレスをかけた。カルデナスはガードを固めて強打に耐えた。

 ハプニングは2回だ。井上が攻めると、カルデナスが体を潜らせる。井上の体が前に出たところ、挑戦者の左フックがヒット。井上が昨年5月のネリ(メキシコ)戦に続き、ダウンを喫した。ここは冷静に立ち上がった井上は3回、ジャブ、左ボディーで攻勢を掛けた。6回には右を効かせて猛ラッシュ。7回には連打から右ストレートでダウンを奪い返した。勝機を見た井上は8回、右で飛ばすと猛ラッシュ。レフェリーがたまらず試合を止めた。

 「僕が殴り合いが好きだと証明できた。すごい楽しかったです」と井上。ダウンについて聞かれると「非常に驚いたけど、冷静に組み立て直せた。3回から(パンチを)もらわないようにした。(相手は)事前に映像で見たよりも2、3倍強かった。人生をかけてきたとリング上で感じた。熱いものを感じた。しょっぱい試合できないなと思った。勇敢に打ち合って白熱した試合ができた」と振り返った。

 ラスベガスでの勝利は21年6月のマイケル・ダスマリナス(フィリピン)戦以来、1415日ぶり。25度目の世界戦でKO勝利数は23となり、伝説の世界ヘビー級王者ジョー・ルイス(米国)を超えて歴代単独最多となった。

 次戦について聞かれた井上は「9月に(東京でWBA世界同級暫定王者)ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と戦います」とリング上で高らかに宣言していた。

 戦績は、井上が30戦全勝(27KO)、カルデナスが26勝(14KO)2敗。

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