◆バレーボール ▽大同生命SVリーグ男子 チャンピオンシップ決勝第2戦 サントリー 3(29―27、25―16、25―22)0 愛知(5日、千葉・ららアリーナ東京ベイ)

 2戦先勝制のチャンピオンシップ(CS)第2戦で、高橋藍(23)擁するレギュラーシーズン(RS)2位・サントリーが、4位の愛知を3―0で退け、昨秋開幕したリーグの初代王者に輝いた。フルセットの末に制した3日の第1戦に続く2連勝で決着。

藍はチーム2位の18得点と攻守で躍動し、CSの最優秀選手(MVP)に輝いた。チームは昨年12月の全日本選手権との2冠を達成し、次の目標に12月の世界クラブ選手権での「世界一」を掲げた。

 ムセルスキーの一打で優勝が決まると藍が「ブラボー!」と絶叫した。左膝を折ってしゃがみ込み両拳を強く握る。会場を埋め尽くした超満員9864人の大歓声が響く。藍は駆け寄ったチームメートの兄・塁(25)と抱き合った。CSのMVPにも輝いた。初代リーグ王座を奪った立役者は「やり切った。皆でつかんだ優勝。チャンピオンになれたのが本当にうれしい」と喜びを爆発させた。

 大舞台に強い男が躍動した。先勝した3日のV王手から中1日。

藍はこの日の朝、兄に「今日はいけるわ!」と言った。その言葉通り、接戦の第1セット(S)からエンジン全開。セットポイントでレフトから強烈なスパイクで先取すると、第3Sの23―22の場面ではこの日、決定率85・7%のバックアタックを突き刺した。「1点にこだわり、集大成が出せた」

 2つの目的を果たした。イタリア1部で3季プレーし、今季は「成長」と課して自身初の日本のリーグに参戦。大きな挑戦だった。RS序盤は左足首の痛みもあり状態を上げ切れなかったが、44試合のタフな日程でも週に2度「イタリアの時と変わらない」と強度の高いトレーニングを継続。スパイク時の跳躍が開幕時と比べて約10センチアップ。守備が強固なリーグで「攻撃の引き出しが増えた。成長を感じながらできた」。アタック決定率で、日本人1位(54・6%)の数字に表れた。

 昨夏の入団会見では「バレーボールを夢のある競技にしたい」と宣言。

開幕前は積極的にメディア出演し、子どもへ「楽しさを伝えたい」と活動した。シーズン総入場者数は男女で112万2710人を記録し、この日はチケット完売。リーグの“顔”は「ファンと一緒に戦えた」。チームメートの小野寺太志(29)も「藍が来てくれたおかげでもあるし、日本代表のような熱気を感じられた」と語った。

 次の目標は「世界一」だ。11日からは藍の地元・京都で決勝が行われるアジア・チャンピオンズリーグに臨む。決勝に進めば、12月の世界クラブ選手権の切符をつかむ。「世界一のチームを目指す」と藍。エースの挑戦は続く。(宮下 京香)

 ◆高橋 藍(たかはし・らん) 2001年9月2日、京都市生まれ。23歳。東山高、日体大卒。

20年2月、日本代表初選出。イタリア1部で21―23年シーズンはパドバ、23―24年シーズンはモンツァでプレーしてプレーオフ準優勝。24―25年シーズンにサントリーに入団し、優勝した24年12月の全日本選手権でMVP。21年東京、24年パリ五輪出場。188センチのアウトサイドヒッター。

 ◆サントリーサンバーズ大阪 1973年設立。本拠地は大阪市、大阪・箕面市。サンバーズには「燦然(さんぜん)と輝く太陽に向かって羽ばたく、不死鳥のように」との思いが込められた。前身のVリーグで2004年まで5連覇、23―24年季制覇など10度のV。23年の世界クラブ選手権で日本勢初の銅。昨年12月の全日本選手権では10年大会以来、14年ぶり2度目V。フランス人のオリビエ・キャット監督(58)が指揮。

 ◆アジア・チャンピオンズリーグ(ACL) アジアのクラブ最強を決める大会で、12チームが参加。11~13日に大阪・パナソニックアリーナで4組に分かれてグループステージ(GS)を実施。15日からは島津アリーナ京都に会場を移し、準々決勝から18日の決勝までを行う。日本は前身のVリーグで昨季優勝したサントリーと準優勝の大阪Bが参戦。各大陸王者などが12月の世界クラブ選手権(開催地未定)に進む。

編集部おすすめ