◆プロボクシング▽女子ミニマム級(47・6キロ以下)6回戦 〇四元志桜里(TKO 1回1分59秒)クンテラダー・クラサノウ●(6日・神戸市立中央体育館)

 昨夏のインターハイ王者で、異例の現役女子高生プロボクサー・四元志桜里(よつもと・しおり、18)=真正=がB級(6回戦)でデビュー戦に臨み、クンテラダー・クラサノウ(18)=タイ=に1回わずか119秒でTKO勝ちした。陣営は次戦にも地域タイトル挑戦を見据える。

メインではWBOアジアパシフィックバンタム級9位、東洋太平洋同級11位の伊藤千飛(せんと、19)=真正=が、韓国ジム所属のフィリピン人選手に4回KO勝ちした。

 現役JKボクサー四元が119秒TKOの圧巻デビューだ。ガードを高く上げて相手の動きを見極め、左ボディーブロー、左フックを次々とヒット。開始から主導権を握り、ラウンド終了間際には、きっちりとフィニッシュした。右ストレートでぐらつかせて一気に連打し、相手が背を向けたところでレフェリーストップ。「デビュー戦で倒すこと(KO勝ち)ができてよかった。練習したパンチが出せた」。地元の鹿児島から家族も訪れるなか、会心の笑みを浮かべた。

 フジテレビのドキュメンタリー番組「ミライ☆モンスター」でも取り上げられた18歳は「パンチに自信があるので、早くプロで勝負したかった」と、在学中に異例のアマ引退、プロ転向。日章学園高(宮崎)の調理科に在籍しながら強豪のボクシング部で練習生として汗を流し、月ごとに約1週間、神戸市の真正ジムで実戦練習を積む。リング下で見守った父・久志さん(39)は、まな娘のデビュー勝利に安どしつつ「もっともっと、インパクトのある試合をしてほしい」と期待した。

 真正ジム・山下正人会長(63)は「チャンスがあれば次でタイトル挑戦」と、夏以降に予定するプロ2戦目での、ミニマム級またはアトム級の東洋太平洋、WBOアジアパシフィック王座挑戦を視野に入れた。

チャンプ候補は「私が女子ボクシングを盛り上げていきます」と誓い、「2年以内に世界王者になりたい。目標は5階級制覇」と大きな夢を掲げる。通算成績は四元が1勝(1KO)、クンテラダーが8勝(3KO)5敗。(田村 龍一)

 ◆四元 志桜里(よつもと・しおり)2007年4月13日、鹿児島・霧島市生まれ。18歳。牧之原小1年時に地元で空手を始め、全国大会5連覇や世界大会優勝。牧之原中1年時に東京五輪聖火ランナーを務める。2年時に日章学園中へ転校し、ボクシング転向。バンタム級で同高1年時に全国選抜大会優勝、2年時にインターハイ優勝。今年1月、プロのB級ライセンスを取得した。身長154センチ、右ボクサーファイター。家族は両親と妹。

 〇…伊藤が自身初の10回戦で圧勝した。左のボディーブローとアッパーを繰り出しながら、最後はこん身の右ストレートで試合を終わらせた。デビューから2戦続けてKO勝ちも、前戦は判定勝ち。その悔しさをバネに練習に励んだ。「初めてきれいにKO勝ちできてうれしかった」。キックボクシングで200戦の経験もある19歳は、リング上で「世界チャンピオンになれるように頑張ります」と目を輝かせた。プロ通算成績は4勝(3KO)。

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