歌手の布施明(77)が7日、デビュー60周年を記念したコンサートを東京・北の丸公園の日本武道館で行った。

 昨秋から続く60周年ツアーのファイナル公演。

静寂の客席に鐘が鳴る厳かなオープニングに姿を見せた布施は、マイクを通さず地声で「私には愛する歌があるから 信じたこの道を私は行くだけ すべては心の決めたままに」と「マイ・ウェイ」の一節をアカペラ歌唱。拍手が巻き起こる中「君は薔薇より美しい」で軽快なステップを踏みながら豊かなロングトーンで圧倒した。

 新曲の「武蔵野 On My Mind」からヒット曲「霧の摩周湖」「シクラメンのかほり」のメドレーまで多彩な構成で19曲を披露。クラシックやジャズなどのサウンドを取り入れた粋なアレンジに加え、衰え知らずの歌声で8000人を魅了した。「コメディアン~Mr. Bojangles」「コメディアン2~ピエロ」ではパントマイムを駆使し哀愁とおかしみが同居するようなパフォーマンスで独特な世界観に引き込んだ。

 MCでは、布施が大ファンを公言しリスペクトする歌手のシャルル・アズナヴールやトニー・ベネットについて、歌唱後に背中を見せるステージの姿にあこがれてきたことを明かし「真似をしている間に私もすっかり猫背になってしまいました」と笑顔。ツアータイトルの「Voyage<旅路>」にちなんで「武蔵野の少年が旅に出て、山を越え荒れる海へも漕ぎ出さなくてはならない。ハラハラドキドキの道のりでございました」としみじみと語りつつ「道はまだまだ先に伸びております。ですから、この道をもう少したくさん歩いてみたいと思っております」と次なるステップを見据えていた。

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