◆大相撲夏場所4日目(14日、東京・両国国技館)

 初めて綱取りに挑む大関・大の里が、西前頭筆頭・王鵬との全勝対決を制し4連勝を飾った。立ち合い負けせず、押し出した。

12勝3敗で優勝した先場所に敗れた王鵬、若元春、高安にリベンジ。大関昇進後、全敗だった4日目も4場所目で初白星を挙げた。

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 思わず「強い」と叫んだ。王鵬の低い立ち合いも決して悪くなかったが、大の里の体当たりがそれ以上に強烈だった。横綱と大関を撃破している王鵬をはじき飛ばし、その後は左で突いて右でも突いた。3日目の阿炎との一番は強烈なのど輪で天井を向いた。4日目は前傾姿勢となって手と足が自然とリズムを刻んだ。

 苦戦すると思った。引き技で逃げるケースも十分にあると思っていたが、完勝劇。「立ち合いが勝負を決める」という相撲の大切さを再確認させてくれる一番でもあった。

 初日のコラムで「大の里が綱を張る確率は60%」と書いた。王鵬を圧倒した一番を目の当たりにしても、この数字に変化はない。

大相撲の15日間の中にはいろいろなことが起きる。精神面や体調面などが日々、変化するのである。何度も指摘している“毒まんじゅう”がいつ飛び出すかどうかもわからない。そして綱の道の険しさだ。その壁にはね返された力士の涙を何度も見たことか。

 「綱の道 高くそびえる 厚き壁」

 お粗末でした。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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