来年、デビュー55周年を迎えるシンガー・ソングライターの泉谷しげる(77)が5月16日から6月15日まで、東京・表参道のTHE GALLERY OMOTESANDOで個展「サイバーパンク展」を開催することになった。「漫画家になりたかった音楽家」を自認する泉谷の、画家としての一面を披露した異色の個展となる。
「サイバーパンク展」は、泉谷がデビュー以来、描き続けてきた作品展。「独自にサイバーパンクの世界観をイメージして描いてきた」そうで、テクノロジーが人間性を侵食する現代社会への警鐘を鳴らすと同時に、どんな困難な状況でも生き抜こうとする人間の強さを表現してきた。
「オレにとっては、サイバーパンクを描くのも音楽活動も同じこと」と言う一方で「結局、歌を歌って、役者をやってテレビにまで出ているから、こういった個展もやらせてもらえるのだから、片手間画家であっても、個展に来てもらって凄いと思ってもらえたら、それでもいい」。
個展に合わせて、泉谷にとっては初の描き下ろしとなるサイバーパンク漫画「ローリングサンダー」も発売された。泉谷が自らの世界観を漫画の中で表現したものだという。今回の個展を「単なる絵画展覧会とは違う」と言い切る泉谷。「オレにとっては、現代社会への強烈なメッセージだってこと。いわゆるAI時代の到来や監視社会の進行など、かつてのSFが描いてきたディストピアが現実味を帯びていく今、オレなりにアートで問いたかった」と意義を口にした。
泉谷は今年2月に48年ぶりに古巣のファーライフに電撃移籍し、アルバム「シン・セルフカヴァーズ 怪物」を発売。音楽でも精力的な活動をしている。