金曜ロードショー(後9時)では、16日から3週連続でトム・クルーズの”代名詞”とも言える人気シリーズ「ミッション:インポッシブル」の過去作を放送。昨年6月には、シリーズの1~3作目が放送されたが、それ以来の登場となる。

今回は23日にシリーズ最新作「―ファイナル・レコニング」が世界同時公開されるのを記念しての特集で、16日の第1弾では「―ゴースト・プロトコル」(2011年)が枠を45分拡大して放送される。

 極秘諜報機関・IMFの腕利きエージェント、イーサン・ハント(クルーズ)は、チームの仲間と共に作戦のためにモスクワのクレムリンに潜入するが、そこで爆破事件が発生。実行犯としてイーサンらに容疑がかけられた。米大統領は国家としての関与を否定すべく、IMFを”切る”ことを決定した。

 存在を抹消されたIMFは孤立無援の状態となるが、テロリストたちの計画は着々と進んでいく。その最終目的が世界を破滅させるほどの巨大な陰謀であることを知ったイーサンらは、爆破事件の真犯人であるテロリストたちを追い詰めるが…。

 サブタイトルにある「ゴースト・プロトコル」とは、直訳すると「幽霊の取り決め」。物語の中でも説明があるが、政府がIMFを切り離すことで、その後に起きた出来事は「国家のあずかり知らぬところ」とする指令を意味する。言ってみればシルベスター・スタローン主演の人気シリーズ「ランボー/怒りの脱出」(1985年)で、ランボーがベトナムで拘束された捕虜を見付けてしまったことが米軍にとって都合が悪かったため、救出ヘリが戻ってしまったようなところか(ん、ちょっと違うか…)。

 話がややそれたが、サブタイトルの意味が早々に明かされるのと同様に、前半で本作最大ともいえるアクションシーンが登場する。それが、世界で最も高い建造物であるドバイの超高層ビル、ブルジュ・ハリファの外壁をイーサンが登っていくシーンだ。公開当時、予告編でもバンバン流れていたので、覚えている人も多いかもしれない。

 ただ、記者は今回、改めて作品を見直すまですっかり忘れていたことがあった。同シーンはクライマックスで登場するものだと思っていたのだが、ドバイが舞台になるのは開始から1時間半くらいまで。イーサンらの活躍の場は、後半はインドに移される。本シリーズは象徴的なアクションシーンがあまりにも派手(例えば、来週放送の「―ローグ・ネイション」であれば飛行機にしがみついている場面)なので、それが脳裏に焼き付いてしまうということなのだろう。

 とはいえ、後半にも見どころは十分あるのでご心配なく。特に、本シリーズではお約束ともいえる「あのアクション」は、今回は”変化球”で飛んで来るので、知っている人にとっては思わずニヤリとさせられてしまうのではないだろうか。

 個人的には、オープニングから登場する女ヒットマンのサビーヌ・モローに注目している。演じているのは仏女優レア・セドゥ。本作に出演するまでは映画ファンにしかその名前が知られていなかったが、注目度が急上昇。アデル・エグザルコプロスとのダブル主演作「アデル、ブルーは熱い色」(13年、日本公開は14年)は、カンヌ国際映画祭で審査委員長のスティーブン・スピルバーグ監督が絶賛。史上初めてパルムドールが主演女優2人にも贈られた。

 記者は、セドゥといえば「007 スペクター」(15年)と「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(21年)でのマドレーヌ・スワン。

本シリーズと「007」シリーズのボンドガール、両方を演じた女優は彼女だけ。もっとも、当初予定されていた通り、シルビア・クリステル主演の伝説的作品「エマニエル夫人」(1974年)のリブート作品で、日本では今年1月に公開された「エマニエル」(24年)に主演していれば、同作が「最注目作」となったことは間違い無かっただろうが…。(高柳 哲人)

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