◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 今年9月、34年ぶりに東京で世界陸上が行われる。開幕まで約4か月。

チケットの売れ行きは好調という。

 前回の1991年大会。今では考えられない話だが、ほぼ連日、無料で生観戦した。当時、私は東洋大の陸上部に在籍していた。チケットの売れ行きが悪いようで、大会側は学生に動員をかけていた。毎朝、マネジャーが部員に当日チケットを配り、午前中に練習を終えると、チームメートと一緒に旧国立競技場に向かった。各校で動員され、スタンドは関東学生対校選手権のような雰囲気だった。

 開幕前、世間の注目度は低かったが、徐々に流れが変わった。第2日に男子100メートルでカール・ルイス(米国)が9秒86の世界新記録(当時)で優勝。「ヘイ、カール!」。独占中継した日本テレビのリポーターを務めていた長嶋茂雄さん(現巨人軍終身名誉監督)の名言も生まれた。第7日の男子走り幅跳びは、マイク・パウエル(米国)が世界記録の8メートル95で制した。

ルイスは8メートル87で2位。両者の記録は今も世界記録と世界歴代3位。史上最高レベルの戦いを生観戦できたことは幸運だった(しかもタダで)。

 大会は9日間開催。残り2日は無料チケットが回ってこなかった。注目度が高まり、完売したという。楽しみにしていた最終日の男子5000メートル決勝などが観戦できなかったことは残念だったが、陸上が盛り上がったことは陸上部員としてうれしかった。今回も国立競技場が満員となり、盛り上がることを期待している。(箱根担当・竹内 達朗)

 ◆竹内 達朗(たけうち・たつお)1992年入社。東洋大で箱根駅伝に3回出場し、3回凡走。サッカー担当などを経て入社23年目の2014年から念願の箱根駅伝担当。

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