◆大相撲 ▽夏場所9日目(19日、東京・両国国技館)

 幕内は綱取りの大関・大の里が東前頭5枚目・宇良を送り出し、無傷の9連勝で単独トップをキープ。東前頭9枚目・安青錦も8連勝で1差を守った。

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 頭は上げない。安青錦の視線の先には、千代翔馬のあごの下があった。あごを引いて腕(かいな)をしっかりと伸ばし、“くせ者”の左右の動きをも封殺した。完勝だ。安青錦の良さが存分に出た一番だった。

 千代翔馬は「横綱・日馬富士関のようだった」と言ったという。立ち合いからの攻めの速さが日馬富士の持ち味。力強く突いていく安青錦にはまだスピードが不足しているが、目指す相撲に間違いない。幸い師匠の安治川親方(元関脇・安美錦)は日馬富士の兄弟子だった。身近に参考書があるのは心強い。ジェット機が滑走路を離陸するような力強い立ち合いを身につければ鬼に金棒だ。

 10日目は若隆景との対戦が組まれた。

安青錦は重心が低いが、若隆景はそれ以上に低い。同じ若手の尊富士は“幕内上位の壁”にはね返されて4日目から6連敗。安青錦も壁に泣くのか、それとも壁を打ち破るのか。注目の一番だ。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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