歌手の辰巳ゆうとが1日、東名阪を駆け抜ける「スペシャルコンサートツアー2025~Triangle~」を大阪市北区の梅田芸術劇場メインホールでスタート。プロ野球・楽天のスター外野手と姓が同じ読みつながりで“演歌界の辰己涼介”を目指すと意気込んだ。

 ツアー第1弾の大阪公演はチケット完売の大盛況。ツアータイトルのTriangle(トライアングル=三角形)には演歌、ロック、ダンスの三位一体という意味が込められている。「演歌歌手でもあるんですけど、演歌以外のロック調、ダンス曲にもどんどんチャレンジしていきたい。“辰巳ゆうと”という新たなジャンルをつくり上げたい気持ちが強いです」

 そうした思いは、昨年3月まで同じ長良プロダクションに所属していた氷川きよしの背中を見て培った。「氷川先輩の活動を見ていても、演歌に限らず、いろんなことにチャレンジされている。氷川先輩にしかできない世界を築かれているように、辰巳ゆうとにしかできない世界を築いていきたいと思います」

 23年から「星くずセレナーデ」「迷宮のマリア」「運命の夏」と3曲続けてポップス曲をリリースしている。「ポップス路線の曲を歌わせていただくことで、普段演歌を聞かないという方にも聞いていただけるようになりました。逆に『ゆうと君の(ポップス)曲を聞いて演歌も好きになりました』とおっしゃる方もいる。すごくありがたいです」とファン層は拡大一途だ。

 その第9弾シングル「運命の夏」は、辰巳によると「夏のさわやかな部分だけを切り取った一曲」というサマー・アンセム。5月12日付のオリコン週間演歌・歌謡シングルランキングで1位に返り咲くなど、暑い季節を迎えてヒット街道をばく進している。この流れが続けば、昨年はかなえられなかった「NHK紅白歌合戦」初出場の夢も現実味を帯びてくる。

 「かなえたいというより、『かなえる』という気持ちです。昨年かなわなかったからこそ、応援していただいている方との結束力も上がっていると思います」。大晦日(おおみそか)の夢舞台を目指し、自身やスタッフはもちろん、コアなファンも“ご新規”の獲得に向けて精を出しているのだとか。「お客さんと一緒になって踊る振りつけもそう。一体感を持って『かなえる』ために、これからも大切な一日一日を過ごしていきたいです」

 大晦日はもちろん、“大晦日イブ”の大一番も重要だ。23年は「星くずセレナーデ」で日本作曲家協会選奨、昨年も「迷宮のマリア」で編曲賞を受賞し、新国立劇場でパフォーマンスした。「レコ大に2年連続で出させていただいています。目指すべきは大賞ですが、金賞(優秀作品賞=大賞ノミネート)の中に入ることも憧れです。まずは金賞を目指して頑張っていきたいと思います」

 授賞式でタツミで金。プロ野球ファンの辰巳ならずとも、昨年11月の三井ゴールデン・グラブ賞表彰式に全身金ピカ姿で登場した楽天・辰己が思い出される。「もしかしたら僕も金ピカにしなきゃいけないのかな。(金賞を)取らせていただいたら視野に入れます。

めちゃめちゃ怒られることを覚悟の上になっちゃいますけど(笑)」。ナニワっ子らしいノリで、現場が騒然となること必至の公約を口にした。

 かつての近鉄バファローズの本拠地、大阪・藤井寺市出身。辰巳が生まれた1998年は既に大阪ドーム(現・京セラドーム大阪)移転後ということもあり、応援しているのは阪神とソフトバンクだとか。だが、1学年上の辰己は大好きな選手の一人という。「辰己選手の活躍ぶり、僕も見てます。(ひいきの阪神、ソフトバンクと)チームは違えど、全力プレーで元気をもらってます。演歌界の辰己選手と呼ばれる存在になりたいと思います」とリップサービスが止まらない(笑)。

 この日の大阪市の最高気温は25度。夏日の熱気の中、ファンも大熱狂した。「運命の夏でありながら、運命の一年にしたいと思います」。キャッチーなコメントにスタッフがどよめく中「今、思いつきました」とテヘペロ。

果たして年の瀬に、辰己…じゃなくて辰巳の金ピカ姿を拝めることはできるのか。

 ツアーは7月8日に名古屋・Niterra日本特殊陶業市民会館、10月24日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でも開催される。

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