◆車いすテニス ▽全仏オープン(7日、フランス・パリ)
【パリ7日=吉松忠弘】2024年パリ・パラリンピック男子シングルス金メダルで、世界ランキング1位の小田凱人(ときと、東海理化)が、2007~10年に4連覇した国枝慎吾以来全仏2人目の3連覇を達成した。2024年パリ・パラリンピック決勝の再現となった同2位のアルフィー・ヒューエット(英国)に6-4、7-6のストレート勝ち。
最後のマッチポイントが決まると、小田は、その場で車いすを回転させ、全身で喜びを表した。「10連覇を目指してがんばりたい」。すでに師匠とあこがれる国枝慎吾は目標ではない。途方もない前代未聞の10連覇宣言で、観客を沸かせた。
今年1月の全豪決勝で、ヒューエットに敗れ、「鼻っ柱を折られた」。しかし、今回も、準決勝後には、「(決勝は)負ける気がしない」と強気の宣言で、自らを奮い立たせた。そして、今回は、有言実行。その言葉通り、ストレートでヒューエットに雪辱だ。
2023年からローランギャロスで17連勝だ。「自分の名前をもらった凱旋門があるパリは最高の場所」と表彰式でもファンに説明。「コートだけでなく、雰囲気とかでも、1番好きな場所」と話す赤土の聖地は、小田のためにほほえんでいる。
コートだけではなく上地結衣(三井住友銀行)が、5年ぶり5度目の優勝を遂げた。同2位で、パリ・パラ準決勝の再現となったアニク・ファンクート(オランダ)との決勝に6-2、6-2のストレート勝ち。4大大会区切りの通算10度目の優勝を全仏3度目の単複2冠で飾った。5度目の全仏優勝はディーデ・デフロート(オランダ)と並んで歴代2番目の多さとなった。
最後はあっけない相手のダブルフォールトだった。それでも、この試合、初めての満面の笑みで、上地は勝利を祝った。「とてもハッピー。でもパラリンピックの決勝の時のような、なんか本当に終わったのかなみたいな(感じ)。けがをしていたので驚いている」。パラ女王貫禄の単複2冠だった。
昨年11月からの左手首の腱鞘炎、2週間ほど前の左手のひらの痛みのため、1回戦後は「全仏も欠場かと思った。ここにいるだけで奇跡に近い」と話した。
7月8日に開幕するウィンブルドンには、4大大会とパラリンピックを合わせて生涯5冠がかかる。「今年の第一目標。今回、大きなけががなく終えられたので」。すでに、今年は全豪も制し、「久しぶりに2大会、4大大会で優勝している」と、手応えは十分だ。