◆女子サッカー◇静岡県高校総体 ▽決勝 常葉大橘2―2(PK 4―3)藤枝順心(7日・エコパ スタジアム)
女子決勝は常葉大橘が、5大会連続日本一の絶対女王・藤枝順心を2―2からのPK戦で破り、2011年以来14年ぶりの優勝。橘は全国切符を懸けた東海総体(21、22日・三重)に出場する。
涙腺が自然と緩んだ。待ちわびた光景が眼前に広がっていた。常葉大橘は2度リードを追いつかれたが、最後はPK戦で振り切った。12連覇中だった順心を止めたイレブンは、コーナーポスト付近で折り重なって14年ぶり優勝の味をかみ締めた。先制ゴールで流れを呼んだFW松浦芽育子(3年)は「め~っちゃうれしい」と感情を爆発させた。
前半27分、左からのボールに反応。「クロスが入ると瞬間に分かった」と右足ダイレクトのループシュートを決めた。この日は3月に退任した後藤亜弥(あみ)前監督(31)が観戦。得点後はスタンドに向け指文字で「AMI」と作って感謝の気持ちを伝えた。
前半終了間際に左足甲を負傷した松浦に代わって入ったFW竹川花音(3年)も奮起した。同点の延長前半アディショナルタイム1分、相手のミスを見逃さずにボールを拾い、左足で一時勝ち越しのゴール。「信じられない気持ち」と満面の笑みで振り返った。
昨年10月27日の全日本高校女子選手権静岡県大会決勝で順心を1―0で破り、県王者として出場した昨冬の選手権は、初戦の2回戦で専大北上(岩手)に1―2で敗退。「何かを変えないといけない」(松浦)と部内で共有するサッカーノートを導入した。練習メニューやコーチ陣から指導されたポイントなどを当番が書き込み、全員が目を通す。年明けから始めた習慣は定着し、ノートは早くも4冊目に入った。成果は着実に表れ、今季は東海女子リーグ、U―18リーグ東海で順心に2連勝。今春から指揮を執る落合史裕監督(35)も「身構えることなくやってくれた」と拍手した。
21日からは各県の覇者が出場する東海総体が始まる。リーグ戦で争われ、上位2チームが全国切符をつかむ。松浦は「絶対(会場の)北海道に行きます」と高らかに宣言した。
(武藤 瑞基)