◆プロボクシング ▽WBC&IBF世界バンタム級(53・5キロ以下)王座統一戦12回戦 〇WBC王者・中谷潤人(6回終了TKO)IBF王者・西田凌佑●(6月8日、東京・有明コロシアム)
WBC、IBF世界バンタム級王座統一戦はWBC王者・中谷潤人(M・T)が6回終了TKOでIBF王者・西田凌佑(六島)を下し、WBC王座4度目の防衛とともにIBF新王者となり、2団体王座を統一した。中谷は世界戦10連勝で、2015年4月のプロデビューからの連勝を「31」に伸ばした。
試合後、リング上のインタビューでは「1ラウンド目からいくというのはチームで話していた」と序盤からの猛ラッシュは予定通りだったと明かし「自信になりました」と、2本のベルトを誇らしげに肩をかけた。この日、現地で観戦し来年の対戦が予定されるスーパーバンタム級(55・3キロ以下)の4団体統一王者・井上尚弥(大橋)には「もうすぐいくので待っててください」と呼びかけ、観客にも「また新たな未来が開けたと思うので、ご期待ください」とメッセージを送った。
“ビッグバン”がついに夢をかなえた。世界主要4団体全てで日本人が王者に名を連ねるバンタム級。PRIME VIDEOの中継スペシャルゲストとして来場したWBO王者・武居由樹(大橋)、WBA休養王者・堤聖也(角海老宝石)の目の前で、中谷は「フライ級の頃から目指していた」という統一王者を手にした。
「応援してくれる方がたくさんいると感じていて、その期待を上回ることをモチベーションにしてきた。ベストな状態が作れて、計量(7日)前日には体重もリミットを切っていた。ビッグバンを発揮したいと思った」。宇宙の始まりとされる大爆発を意味する新愛称を引き合いに、王座統一実現を目指した。
これまで日本人王者同士による世界王座統一戦は、ミニマム級(47・6キロ以下)でWBC王者・井岡一翔―WBA王者・八重樫東(2012年6月)、ライトフライ級(48・9キロ以下)でWBC王者・寺地拳四朗―WBAスーパー王者・京口紘人(22年11月)、フライ級(50・8キロ以下)でWBC王者・寺地拳四朗―WBA王者・ユーリ阿久井政悟(25年3月)の3度行われており、いずれもWBC王者が勝利。今回もWBC王者に栄冠が輝いた。
準備は万端だった。4月下旬から約1か月、米国カリフォルニア州ロサンゼルスで強化合宿を行い、スパーリングは過去最高の260ラウンド以上を数えた。専属の管理栄養士も帯同し、筋肉量など各種データを毎日共有。必要な栄養を摂取できる、バランスの良い食事を提供してもらって、練習でのパフォーマンスの質が向上。減量期に入っても、体力を落とさないよう、食べながらの減量にも成功した。
すべては王座統一、そしてその先にある、スーパーバンタム級(55・3キロ以下)の4団体統一王者・井上尚弥(大橋)とのビッグマッチを見据えてのものだ。井上から来年、東京ドームでの対戦を呼びかけられ、「やりましょう」と中谷は返答した。井上戦までは「負けられない」と自らにプレッシャーをかけた。2人の対決は世界中から注目されており、海外のファンも日増しだ。
中谷は今後、この日統一した2タイトルを返上し、階級をスーパーバンタム級に上げることが濃厚。井上とのビッグマッチに向け、新たなスタートを切る予定だ。