◆日本生命セ・パ交流戦 2025 阪神8―1オリックス(8日・甲子園)

 虎党の夢を乗せた打球がすぐさま、スタンドに消えた。中野の左前打で先制した直後の3回2死一、二塁だ。

阪神・森下翔太外野手(24)は、曽谷の内角直球を完璧に仕留めた。左翼の西川が一歩も追わない弾丸ライナー。2試合連続の10号3ランだ。「手応えも、打つ場面もよかった」。打球速度179キロの驚弾に胸を張った。

 新人から3年連続で2ケタ本塁打をクリア。球団で21~23年の佐藤輝、右打者では岡田彰布(80~82年)以来、43年ぶりだ。「ホームランは得点も取れるし、ロマンもある」。逆転3ランを放った8日の宮城に続き、左腕二枚看板を豪快に沈めた。オリックスとの「関西ダービー」では3年ぶりの3連戦3連勝。若き主砲が勝負強さを発揮し、通算成績も36勝35敗3分けと勝ち越した。

 名実ともに看板となった3年目は「土台」にこだわっている。

中大3年秋から取り組む打撃フォームのベースに「正解」があるから、微修正を繰り返すだけ。周囲が驚いても、打球速度や目先の数字には関心を示さない。己の理想を追求した先に、納得した成果が生まれることを確信。「やるべきことをやって、結果がついてくれば」と言い切る。

 8回には佐藤輝が17号満塁弾で続いた。兄貴分とのアベック本塁打は、今季3戦3勝だ。チームの貯金も最多を更新する14。初優勝を目指す交流戦は過去最高の5勝1敗で発進し、単独首位に浮上した。「結果が出るのはまだまだ先。もっともっと打ちたい」と10号は通過点とした森下。まだまだロマンを求めている。(直川 響)

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