◆第75回安田記念・G1(6月8日、東京競馬場・芝1600メートル、良)
第75回安田記念・G1は8日、東京競馬場で行われ、2番人気のジャンタルマンタルが香港マイル13着から半年ぶりの実戦で一変し、G1・3勝目。国内マイル王の座に就き、ブリーダーズCマイル・米G1(11月1日、デルマー競馬場)の優先出走権を獲得した。
新マイル王、爆誕! ジャンタルマンタルは昨年の最優秀マイラー・ソウルラッシュが2着争いを繰り広げるのを尻目に、悠々と1馬身半抜け出してゴールした。「日本で一番強いマイル馬なんだと証明してくれたレースだと思います」と川田。世代交代を決定づける走りで3つ目のG1タイトルを手にした
着差以上の強さだった。スタートから素早くダッシュを利かせ先行集団の外めを確保。向こう正面で外から上がってきた馬に反応してエキサイト。鞍上が手綱を抱える場面も見せたが、4角でリズムを取り戻すと他馬を寄せ付けない末脚を繰り出した。折り合いを欠きながらの完勝に高野調教師も「苦しいところからの横綱競馬ですし、内容的には素晴らしいです」と破顔一笑。普段はクールな鞍上もゴール後にガッツポーズを見せた。
決して順調ではなかった。
復帰戦は半年後となる春のマイル王決定戦に絞って牧場、厩舎一丸となり調整。トレーナーは「装鞍所での姿も完璧でしたし、自分としては満足な状態でした」と復活を信じて疑わなかったという。「ここまで携わってくださったみなさまに感謝したいですし、一生懸命に頑張ってくれた馬に一番の感謝をしたいです」。表情には自然と充実感があふれた。
3年続けてG1を勝ち、NHKマイルC馬として初の安田記念制覇という偉業も成し遂げた。これからは王者として挑戦を受ける立場になる。「今後については決めていませんが」と高野師は前置きしつつ「また輝きを取り戻し、ジャンタルの第2章が始まりました。飛躍させて、さらにもっといい評価を得たうえで馬産地に戻したいと思います」と宣言。
◆ジャンタルマンタル 父パレスマリス、母インディアマントゥアナ(父ウィルバーン)。栗東・高野友和厩舎所属の牡4歳。北海道千歳市・社台ファームの生産。通算8戦5勝(うち海外1戦0勝)。総獲得賞金は5億435万円(うち海外0円)。主な勝ち鞍はデイリー杯2歳S・G2、朝日杯FS・G1(ともに23年)、NHKマイルC・G1(24年)。重賞4勝目。馬主は(有)社台レースホース。