第74回全日本大学野球選手権大会(報知新聞社後援)が9日、神宮球場と東京Dで開幕する。4年ぶり出場の北海学園大(札幌学生)は、9日の第2試合(神宮)で上武大(関甲新学生)と対戦。

大学日本代表候補に選出された今秋ドラフト候補の最速159キロ右腕・工藤泰己(4年=北海)が46年ぶりの勝利に導く。

 北の豪腕が全国に名をとどろかせる。高校では甲子園で2度ベンチ入りするも、出場はなし。主力として臨む大舞台を前に「高校時代は木村(大成、現ソフトバンク)という絶対的なエースがいた。その時にはなかった責任感が今はある。チームの勝利が第一」と気を引き締めた。

 3季ぶりの優勝を果たした春季リーグ戦は4試合計17回を投げ自責点5。白星こそなかったものの、投球回を大きく上回る30奪三振をマークした。季節の変わり目に体調を崩すことが多く、今年も5月2日の星槎道都大戦後に花粉症の症状が悪化。同6日の札幌大戦後に熱が38度近くまで上がり、自宅で静養する期間が数日あったという。体重も2キロほど落ちたが「今は万全な状態」。高校時代から苦しんできた“春”を乗り越え、6月の大舞台に駒を進めてきた。

 チームは1979年の第28回大会1回戦・松山商科大戦(8○0)を最後に勝利から遠ざかる。自身にとっても、地元・北海道のエスコンフィールドで一部の試合が開催される日米大学野球選手権(7月)の代表選出に向けて貴重なアピール機会だが「もちろん代表に選ばれてエスコンで投げてみたい思いはある。でも入学してから初めての全国なので、まずは勝つことを大切にしたい」。日の丸への思いは胸の奥に潜め、約半世紀ぶりの勝利を目指して腕を振る。(島山 知房)

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