日本相撲協会は9日、芝田山部屋所属の行司・木村銀治郎が力士会で集めた現金を着服したことが判明し、懲戒解雇処分としたことを発表した。

 木村銀治郎は十両以上の力士で構成する力士会の書記を務めていた。

協会では同会の役員から集めた現金を着服している疑いがあるとの報告を受け、今年5月10日に本人にヒアリングを実施。「力士会で集めた約2000万円のお金を使い込んだ」との供述があった。

 横領行為が確認されたことを受け、コンプライアンス委員会でも調査を実施し、八角理事長に報告。本人は反省している点を考慮しても「重大な背信行為。動機についても酌量の余地はない。懲戒解雇にした上で、退職金についても全額不支給とするのが相当である」などとする処分意見の答申も行い、今月2日の臨時理事会で承認された。

 同委員会の調査によると、木村は将来の社会貢献のために力士会で徴収して積み立てた計2187万円を競艇の舟券購入などに全額費やしたという。加えて、他の会計担当行司に「横綱から言われた」などと慶弔費などに支出する旨の虚偽の指示を出し、力士会の口座から計332万円を出金させて着服した。被害総額は計2519万円で、未返済が2187万円となっている。

 協会では今後、力士会の金銭の管理体制を一新し、所属する力士の中から会計担当を選出。その上で毎年度、力士会総会の場で会計状況を報告させるなどの、再発防止策を講じるとした。

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