警察庁特別防犯対策監を務める歌手で俳優の杉良太郎(80)がこのほど、東京・浅草で戸別訪問による防犯活動を行った。2018年9月に発足した芸能界有志によるプロジェクトチーム「ストップ・オレオレ詐欺47(SOS47)~家族の絆作戦~」の呼びかけ人として、住民に特殊詐欺被害防止を訴えた。
浅草に降りしきる雨をものともせず、杉は住戸を次々に訪ねていった。「ごめんください。防犯のために参りました杉良太郎です」。都内などで大幅に増える詐欺被害に黙ってはいられない。軒先で応対した住民に「詐欺電話の7割は国際電話の番号から。知らない電話に出ないことが一番大事」と、海外からの着信にだまされないよう注意を呼びかけた。
有効な対策は国際電話の利用休止だ。海外との電話が不要であれば「国際電話不取扱受付センター」に申し込みをすることで、固定電話にかかってこないようにすることができる。手続きは無料。杉は申し込みを勧めるチラシを配りながら「用紙に住所と名前を書いて申し込めば、自動的に国際電話を止めてくれる。簡単で安心ですから」と強調した。
杉にとって、全国154か所目の戸別訪問となった浅草は思い出深い街だ。
浅草の自治会には防犯活動への協力を求めた。詐欺のターゲットは高齢者が多い。「体調が悪い時もあるから、日頃気をつけていてもやられてしまう。必ず次は皆さんのところに電話がかかってくるはず」と、地域全体での防犯意識向上を促した。
杉が全国47都道府県警察とタッグを組んで活動の先頭に立ってから、もうすぐ7年になる。「自分は大丈夫だと思い込むこと自体が、だまされる準備に入っている。今の時代、絶対大丈夫なものはない」。これからも知識や被害防止策を精力的に伝え続ける。