柔道男子100キロ級で21年東京五輪覇者のウルフ・アロン(パーク24)が10日、都内で引退会見を行った。悔いは全くないですね。

29歳は「悔いは全くない。パリ五輪が終わって、やりきった気持ちだった。悔いがあるかといったら今、そういう気持ちはないです」と晴れやかな表情で語った。

 引退を考え始めたのは昨年2月のグランドスラム(GS)パリ大会で優勝した頃だった。「4年後(28年ロサンゼルス五輪)を考えず、パリで終わりと決めなければ自分自身頑張れない、望んだ結果を得ることはできないと思った」。退路を断って臨んだパリ五輪は個人戦で7位。連覇は逃したが「自分の中で精いっぱいの準備をした。試合が終わって後悔がないと感じた」と決断した。

 現役時代から柔道の普及のため、積極的にメディア出演なども行ってきた。今後について、現時点では指導者の道に進む考えはないとし「人に対して見せること、見られることも好きなので、そういったこと全てが選択肢になる。またそういう話をする機会を設けられたら」と述べた。

 ウルフは東京・葛飾区出身。

6歳で講道館にある春日柔道クラブで競技を始めた。得意の内股、大内刈りや“ウルフ・タイム”と称された抜群のスタミナを武器に17年世界選手権、19年全日本選手権で優勝。東京五輪で同階級では00年シドニー五輪の井上康生以来の金メダルに輝き、男子で史上3人目の「柔道3冠」を成し遂げた。

 東京五輪後は両膝のけがなどもあって苦しんだが、パリ五輪では混合団体で2勝を挙げて銀メダルに貢献。その後に今年6月の日本実業団体対抗大会で現役を退く意向を表明した。8日まで行われた同大会で現役最後の試合に臨み、個人としては全3試合に勝利。パーク24の男子1部2位に貢献した。

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