柔道男子100キロ級で2021年東京五輪王者のウルフ・アロン(29)=パーク24=が10日、都内で引退会見を行った。パリ五輪後の昨年9月に現役を退く意向を表明。

今月8日の全日本実業団体対抗大会を最後の試合とした。現役生活を「悔いは全くない」と振り返り、現時点で指導者の道に進む考えは否定。今後の活動については後日改めて発表する。

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 明るいキャラクターに機転の利いたトーク力。担当記者の間でも人気者だったウルフは21年東京五輪後、各方面から引っ張りだこに。「僕を入り口に柔道や選手を知ってもらいたい」。ほぼ全てのオファーを受け、閉幕から数日後には手帳は1か月先まで予定がびっしり。疲れを見せず、テレビ出演やイベントなど1日に3~4件をこなした。

 日本柔道は東京五輪で史上最多金メダル9個を獲得した一方で、競技人口の減少は深刻な課題だった。「誰かがやらなきゃいけない」。責任感から率先して動いたが、競技で結果が振るわず、強化委員会で「芸能人になったのか」との声が上がった。SNS上でも批判を目にした。

それでもこの日、当時の活動に「人間の幅を広げることができた。僕の財産になった時間」と胸を張った。畳の外でも、果たした役割は大きかった。(17~24年柔道担当・林 直史)

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