みちのくプロレスのザ・グレート・サスケが12日に後楽園ホールで行われるストロングスタイルプロレスに参戦する。

 大会は4月21日に90歳で亡くなった団体会長を務める“過激な仕掛人”新間寿さんの追悼興行として開催。

サスケは、共に新間氏とゆかりある1990年3月に旗揚げされたユニバーサルプロレス出身者である新日本プロレス「H.O.T」ディック東郷とタッグ対決。団体の公式インタビューで追悼試合へ挑む心境を明かした。

 サスケは、ユニバーサル時代の思い出を振り返った。

 「まず何よりも息子さんの寿恒ユニバーサル代表に拾ってもらったということが大きいですよね。まだ旗揚げ戦をする前の新人募集をしていなかった時に、青山の事務所へ直談判しにいったんです。普通ならアポもとらずにやってきた若造なんて門前払いするところですけど、即決で入門させてくださり、デビューできるまで導いていただいて。その旗揚げ戦の日(1990年3月2日)に後楽園ホールでお会いしたのが新間寿さんでした。当時、新間さんはユニバールの顧問として携わっていたんですけど、スポーツ平和党の幹事長も務めていたこともあってユニバーサルの事務所の上にスポーツ平和党の事務所が引っ越してきたんです。その時、私とスペル・デルフィン、ディック東郷、そして邪道と外道の、当時のユニバーサル若手総出で手伝いました。そのあたりから、幹事長にはよく声をかけていただくようになりましたね」

 新間さんとの秘話を明かした。

 「顔を合わせるたびに「ちゃんとトレーニングしているか?」「飯は食っているか?」って気にかけてくれるんですよ。もちろん新日本プロレス時代にご活躍されていた姿は知っていてどれほどの人物なのかわかっていましたけど、接していると親戚のおじさんみたいな感覚になりました。

ただ、その中にも“過激な仕掛人”と言われた方ならではのオーラはありました。内面から出る人間としての迫力…というんですかね。その頃、若手は団体の厚意で事務所近くにあった青山のジムに通わせてもらっていたんです。そこに新間幹事長も来ていてトレーニングをされていたんですけど、そのジムに「ベンチプレス100キロクラブ」というのを作ったんですよ。100キロ挙げるとジムの中に名前が飾られるんですけど、すでに幹事長の名がその中にあって。「おまえたちもクラブに入りなさい」って教えてくださいました。みんなかなり重い重量挙げてましたので。だから我々は幹事長と同じベンチプレス100キロクラブの会員なんです!そのジムは土地柄外国人のファッションモデルの皆さんがトレーニングに来るところだったんですけど、我々の方が異端に見えたでしょうね。あと、ご自宅に呼んでいただいたこともあったんですけど、そのたびに幹事長のお古のスーツをいただいたんです」

 スーツにまつわる思い出を続けた。

 「ほかの選手たちはジャージー姿でいくんですけど、私は幹事長からお食事に誘われたりとかご自宅にお邪魔する際はスーツを着ていったんです。それを見て幹事長が「おう、みちのく!(当時のサスケのリングネームはMASAみちのく) スーツを着るんだったら俺のをあげるよ」と言ってくださって。

それこそ、親戚の子どもにあげるような感じでしてくださったんです。顧問という立場から、直接我々に何かを言うことはなかったんですけど寿恒代表にはあの選手がいいとか、この選手をもっと上に持っていったらどうだとか、そういったアドバイスは常にしていたようです。新日本プロレスとアントニオ猪木さんの全盛期をともにして、あの時代を知っている方が我々のように小さなインディペンデントの団体に対して、何も偏見がなく向き合っていただいたのが今思い返すと凄いと思うんですよね。「あんな素人同然の連中がやっていること」とあしらっても不思議ではない立場におられながら、常にファン目線でモノを考えアドバイスしていただけた」

 みちのくプロレスを旗揚げした時、新間さんから言葉をかけられた。

 「みちのく旗揚げ(1993年3月16日)前にお会いする機会があったんです。「今までお世話になりました。これからはみちのくプロレスというものをやっていきます」というのをちゃんと報告しなければと思って代表を訪ねていったら、幹事長もいらっしゃって。その時に「これからはいろいろ大変だろうが、ご両親には迷惑をかけることなく、頑張れよ」と言ってくださったんです。本来ならば雷を落とされても当たり前の状況で、そんな心配までしてくださるのかと、胸が熱くなりましたよねえ。ですから私にとっては、いつの時代でもやさしいおじ様的存在だったんです。それ以後も何度となく同じ場になったこともありましたし、私が岩手県議員時代の方がむしろ多く連絡していました。というのも、政治的な絡みでどうしても新間寿幹事長に相談したい案件があって、私の方から携帯に電話して「久しぶりだな。

じゃあ、会おうか」となって相談に乗っていただいたことが何度もあります。そこからは政治的情報交換をするような関係になりました。私の中では、難しい政治的案件を相談できるのは新間幹事長しかいなかったですし、答えてくださることも本当に的確で先人として頼りにさせていただきました。話を聞けば聞くほど、その人脈の凄さに圧倒されましたし」

 最後に会ったのは昨年6月20日にストロングスタイルに参戦時の後楽園ホールだった。

 「顔を合わせるなり「おまえは誰だ?」と言われました。私、黒のコスチュームからオレンジ色に変わっているじゃないですか。それでわからなかったのかもしれないですね。「私、サスケです」「なんだ、サスケかよー!」っていう会話が最後になってしまいました」

 追悼試合で阿部史典と組み、東郷、日高郁人と対戦する。

 

 「新間寿幹事長からいただいたスーツをまとった感覚で試合に臨みます。実際に着ること自体、あまりにもったいなくてはばかれるのですが、精神的には着られますので。当日は新間幹事長とともに入場するつもりです」

 ◆6・12「新間寿追悼興行」全対戦カード

 ▼メインイベント レジェンド選手権

王者・船木誠勝 vs 挑戦者・新崎人生

 ▼WメインイベントSSPW認定女子タッグ選手権

王者組・ジャガー横田、藪下めぐみ vs 挑戦者組・DASH・チサコ、鈴木ユラ

 ▼第5試合 タッグマッチ30分1本勝負

藤波辰爾、スーパー・タイガー vs 村上和成、ブラック・タイガー

 ▼新間寿会長「追悼セレモニー」

 ▼第4試合ハウスデコpresentsタッグマッチ30分1本勝負

大仁田厚、雷神矢口 vs 間下隼人、関根“シュレック”秀樹

 ▼第3試合 15分1本勝負

Sareee vs 花穂ノ利

 ▼第2試合 タッグマッチ15分1本勝負

ザ・グレート・サスケ、阿部史典 vs ディック東郷、日高郁人

 

 ▼第1試合 15分1本勝負

MIRAI vs ソイ

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