北中米W杯開幕まで11日であと1年となり、日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長(48)が、このほどスポーツ報知の単独インタビューに応じた。02、06年とW杯に出場した経験のある宮本会長は、W杯制覇を目指す日本サッカーの世界での立ち位置の変化、1年後への期待を語った。

(取材・構成=岩原 正幸、金川 誉)

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 昨年3月、戦後最年少でのJFA会長に就任してから1年あまり。宮本会長が1年後に控えたW杯に向けた心境を明かした。

 「代表チームが次のW杯で優勝を目指すと公言している中で、協会としての準備をできるだけやっていく。(現役時代に)W杯を経験して思ったのは、次のステージに行く難しさ。(その国の)サッカーの歴史の長さも間違いなくある。まだベスト8に行けていない中、いかにしてたどり着くか」

 世界一に向け、ここからキャンプ地選びや国際試合のマッチメイクなど強化へ本腰を入れていく。

 「試合会場との距離が近い方がいいのか、リラックスできる場所が多い方がいいのかなど、森保監督からの要望に、しっかり応えられるようにしたい。マッチメイクも、良い準備ができるようにサポートしたい」

 5月の国際サッカー連盟(FIFA)の総会では、各国から対戦希望が届くなど、日本代表の立ち位置の変化を実感している。

 「トップクラスに入るような国からも、やろうよって話もある。14年ブラジル大会で(試合の技術的な分析などをまとめる)テクニカルスタディーグループをやった時、FIFAの人たちからは『日本はいい国だ。ここからもっと上がってくる可能性がある』くらいの言われ方だった。当時を考えると、10年以上たって全然違う。

多くの選手が欧州で活躍して、名前も通っている。(有名なのは)三笘、遠藤あたり」

 宮本会長は選手時代、02年日韓大会で16強入りし、自国開催のW杯フィーバーを経験した。

 「2002年の盛り上がりはすごかった。代表チームが右肩上がりで、一緒になって楽しんでもらっている感じ。『笑っていいとも!』のオープニングで香取慎吾さんが(自身が骨折した鼻骨ガードで付けていた)マスク姿(バットマン姿)で登場していた」

 06年ドイツ大会は1次リーグ敗退に終わったが、自身の経験からW杯の影響の大きさを感じた。

 「4年に一度のW杯のフィーバーは絶対あると思う。次の大会はチャンス。ベスト8、4、優勝とかになってきたら、(これまでと)違うものがドーンと乗ると思っている」

 日本は前回22年カタール大会(16強)を指揮した森保監督の2期目で“歴代最強”とも言われる。

 「18年を(ロシア大会をコーチ)見ていた森保さんが22年、26年と指揮する中、大会の移動、気温や湿度(への適応)と積み重ねはあると思うから、次に進むチャンスがすごくある」

 機は熟しつつある。日本サッカー界が1年後、新しい景色を見る。

 ◆26年北中米W杯の大会方式 前回大会から12チーム増となる史上最多の48チームが参加。米国、カナダ、メキシコの共催となるが、試合全体の75%は米国開催となる。

1次リーグは各組4チームで12組に分かれ、2位以内に入った24チーム、3位の成績上位8チームが決勝トーナメント(T)に進む。決勝Tは32強でのスタート。過去最高成績16強の日本は、決勝Tで2回勝ち上がれば史上初のベスト8入りとなる。準々決勝以降の試合は、全て米国開催となる。

 ◆W杯出場決定国

 ▼開催国 米国(2大会連続12回目)、メキシコ(9大会連続18回目)、カナダ(2大会連続3回目)

 ▼南米 アルゼンチン(14大会連続19回目)、エクアドル(2大会連続5回目)、ブラジル(23大会連続23回目)

 ▼アジア 日本(8大会連続8回目)、韓国(11大会連続12回目)、イラン(4大会連続7回目)、ウズベキスタン(初)、ヨルダン(初)、オーストラリア(6大会連続7回目)

 ▼オセアニア ニュージーランド(4大会ぶり3回目)

 ◆宮本 恒靖(みやもと・つねやす)1977年2月7日、大阪・富田林市生まれ。48歳。G大阪ユースから95年にトップ昇格。同時に同大に進学。2005年J1初優勝。06年オーストリア1部ザルツブルク移籍。09年神戸に加入し、11年限りで現役引退。W杯は02、06年大会に出場。

国際Aマッチ通算71試合3得点。J1通算337試合8得点。18年7月~21年5月までG大阪監督を務める。23年1月から日本協会専務理事を務め、24年3月会長に就任。

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