「M―1グランプリ 2024」で準優勝し、勢いそのままに今年4月から東京に進出したお笑いコンビ「バッテリィズ」。ブレイクまっただ中にいるエース(30)と寺家(じけ、34)が現状への思い、そして、今年のM―1へ向けた葛藤を語った。

(瀬戸 花音)

 「M―1以降、(6月まで)休みは1日か2日ですかね」。準優勝ながら、昨年の“M―1ドリーム”をつかんだ男たちは多忙の中にいる。東京に出てきて家賃16万円の家に住むエースは「借金を完済するめども立ってきた」と笑い、妻子を大阪に残している寺家は「子供がさみしがっていますね」と話した。

 現状を最も喜んでくれているのは、周囲の人々だ。津市出身の寺家は「地元に帰ったときにみんながはしゃいでくれるのがすごくうれしいですね」と笑顔。エースも「家族がこんなに喜んでくれたのは生まれて初めてじゃないですかね。親も僕が出てる番組とか全部見てますから。そんな全部見んといてくれって言ってます(笑)」。 改めて、初の決勝進出での準優勝という結果をどう受け止めているか。エースは「まあ…めっちゃ2位でしたね」と言った。ファーストラウンドで861点をたたき出して1位通過も、ファイナルラウンドでは前年優勝の令和ロマンに2票差で敗れた。寺家は「賢くないやつが勝つのがお笑いやから、(慶大出身の)令和ロマンを倒して優勝できたら美しいなと思ってましたけど…さすがでしたね。

ウケまくりでした」と振り返った。

 今年ももうすぐ夏が来て、M―1の予選が始まる。意気込みを聞けば、想像よりもシリアスな返答。「M―1は僕めっちゃ好きなんですけど。去年やったネタは3年かけて作ったネタという感覚がある。でも今年はもっとそれ以上のものが求められる。その中で戦えるのかというのは、夜中にふと考えたりしますね」と寺家。

 テレビやイベントへの出演が増え、ネタ作りに全力を注いだ昨年とは2人を取り巻く環境は大きく変化した。エースは「難しい。(ネタだけに)本気は出せないし、何とも言えんですね」と葛藤を明かした。17年結成のため、ルール上はあと8回出場できるが、寺家は言う。「今年が最後かなと思います」

 M―1のその先へ。

将来の目標は。「テレビにいっぱい出たいです」とエース。「楽しめるところを探して、自分なりのポジションを築けたら」と寺家。バッテリィズはこれからも、目の前のことに全力投球で挑んでいく。

 ◆バッテリィズ 2017年10月15結成。NSC大阪36期。20年上方漫才協会大賞文芸部門賞。草野球をきっかけにコンビ結成。若手芸人による草野球チーム「上方ホンキッキーズ」では、エースが投手、寺家が捕手。24年12月、M―1グランプリ準優勝。25年3月、よしもと漫才劇場を卒業。初のなんばグランド花月での単独ライブを行う。

4月から東京進出。6月、エースが23年に結婚していたことを公表。

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