◆第73回府中牝馬S(6月22日、東京競馬場・芝1800メートル、良)

 ハンデG3として第73回を迎えた府中牝馬Sは東京競馬場で行われ、セキトバイースト(浜中)が2連勝で初タイトルを手にした。

 強烈な向かい風が吹く府中の長い直線を、強じんな精神力でしのぎ切った。

最後の直線入り口で早々に追い出されたセキトバイーストはじわじわと加速を開始。何度も入る浜中の右ステッキにしっかりと呼応して先頭に立つと、外から迫るカナテープを1馬身振り切ったところが、待望の重賞タイトルの瞬間だった。鞍上は「直線は結構向かい風がきつくて、走り切るにはタフな条件だったと思うが、精神力で先頭を走り切ってくれた」とパートナーの踏ん張りをたたえた。

 好発を決めたが、先手を主張せず控えたことがラストの粘りにつながった。浜中はその後に道中でじわっと3番手まで位置を上げた騎乗について「あくまでこの馬の前半のリズムを優先した結果」と説明。初騎乗だった前走の都大路Sを勝利し、強みを手の内に入れていたからこその完璧なエスコートだった。

 メンバー中2番目に重い55・5キロを背負っての勝利。四位調教師は「強かったね。そんなに上積みはないと思っていたけど、今週の調教の感じが良かったからね」と、すでに今年5戦目となるタフな牝馬の快走に目を細める。昨年のチューリップ賞2着や、ローズS3着など歯がゆい結果に終止符を打つ連勝劇。「しっかり賞金加算できたので、秋に向けてゆっくり休ませます」とトレーナー。充電を終えた4歳牝馬のさらなる飛躍が見られるはずだ。

(石行 佑介)

 ◆セキトバイースト 父デクラレーションオブウォー、母ベアフットレディ(父フットステップスインザサンド)。栗東・四位洋文厩舎所属の牝4歳。北海道新ひだか町・タイヘイ牧場の生産。通算14戦4勝。総獲得賞金は1億4192万1000円。重賞初勝利。馬主はTNレーシング。

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