東京都議選(定数127)は22日、投開票が行われ、元TBSアナウンサーの高野貴裕氏(45)が世田谷選挙区で初当選した。高野氏は、小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の公認候補。
同区の事務所。同党の乙武洋匡顧問から当選確実の電話を受けた高野氏は、「やった!」のガッツポーズとともに当選の喜びをかみしめた。今年1月31日にTBSを退社してまで決意した政界挑戦。「インクルーシブ(共生できる)社会、誰も取り残さない優しい社会を作りたい」と都政へ思いを口にした。直後には、妻で女優の星野真里(45)と一人娘のふうかさん(9)から電話。おめでとうの祝福に「住みよい社会を作るからね」と力強く宣言した。
昨年9月。ふうかさんが国指定の難病「先天性ミオパチー」であることを公表した。生まれつき筋組織に異常があり、全身の筋力が低下する病気。高野氏は「日本は福祉支援がしっかりしているんですが、制度が複雑過ぎて手が届かないところが多い」と振り返る。政界進出を決めたのも、当時の経験をもとに「もっと社会にできることがあるのではないか」と考えたことがきっかけだった。
妻・星野を応援演説に呼ぶことも「舞台公演の最中ですし、力を借りるのは私の信条的にも違う」という理由で行わず。代わりに星野は、「選挙に参加できないから」と標旗と呼ばれる街頭演説で目印となる旗に入れる名前を作ってくれた。高野氏は「表に出ない分、裏でいろいろやってくれて。感謝しています」と話す。
選挙戦では「マスコミにいた人間として、地方選挙では(選挙区が小さいので)ネットが回ってもそこまで効果的ではないと思う」と分析。流行のネット戦略もあまり行わず、地道に選挙区を回って顔を覚えてもらうことから始めた。当選を果たしたいま、今後は開かれた社会の構築と、都政の情報発信という大役を担う。