◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 6月5日に行われたサッカー日本代表のW杯アジア最終予選、オーストラリア戦(パース)を取材した。1年後の本大会へ森保一監督(56)の強い覚悟を感じた。

3月に北中米W杯出場を決めてから、選手27人中、半数以上の14人を入れ替え、7人が初招集。決して消化試合ではなかった。指揮官は試合前日、強い雨に打たれた円陣で「自信を持って、勇気を持ってチャレンジしていこう」と訴えた。

 W杯でメンバー入りしてやろうと、選手の熱量は違った。練習から主力級も当落線上の選手も目をギラつかせた。23歳のMF鈴木唯人は「間違いなく今回はどの選手にとってもチャンス」と受け止めていた。

 結果は最終予選で初黒星。試合後、森保監督は一切、選手を責めなかった。「批判にさらされたとしても、それだけのものを懸けられる選手を招集した。W杯までの結果次第で、私が(1年後に)指揮を執るかどうかも約束されていないと考えた中で起用した」と矢面に立った。選手もその強い意志を感じ取り、信頼関係は深まっていた。

 印象に残った指揮官の言葉は「自分たちの未来は自分たちで切り開け」。

周りの助けがあって輝くのではなく、状況を打開する圧倒的な個性、能力を求める。今後もメンバーは厳しく振るいにかけられる。22年カタール大会ではドイツ、スペインを倒し、世界を驚かせた。それでも、8強への壁は4度目でも突き崩せなかった。苦い記憶は忘れていない。南半球の地では、雨上がりのグラウンドによく虹がかかった。未来へ種をまき、1年後の日本代表の姿を楽しみにしたい。(サッカー担当・岩原 正幸)

 ◆岩原 正幸(いわはら・まさゆき)2004年入社。ゴルフ担当をへて25年サッカー担当キャップに。

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