世界的に有名な浮世絵師・葛飾北斎の「入門講座」となる企画展「あ!っと北斎~みて、みつけて、みえてくる浮世絵~」が24日から、東京・墨田区のすみだ北斎美術館で始まった。北斎作品のなかには「あ!」と驚く多くの仕掛けがあり、北斎や浮世絵に興味を持つ入口となるよう、やさしい解説で北斎や弟子の作品を紹介。

初めての美術館見学や、夏の自由研究学習、北斎初心者にも役立つ企画展になりそうだ。

 北斎の代表的な作品「冨嶽三十六景」にも“あっと驚く仕掛け”が存在する。海外では「Great Wave」と呼ばれ、日本では2024年7月から千円札の裏側のデザインに使われているが、実は富士山の三角図が繰り返されている。他にも、繊細に描かれた女性の集団のなかに、振り返って指をさす人のその先をたどると2頭の鹿が。そんな“仕掛け”の数々を企画展では分かりやすく学べるほか、プロローグでは「北斎とは」「浮世絵とは」の入門的な解説も。「北斎の作品を見て、北斎の作品でみつけて、北斎の作品からみえてくる体験が楽しめる」内容になっている。

 一般公開に先立ち、23日には開会式と内覧会が行われ、墨田区・山本亨区長も出席。「昨年1年間ですみだ北斎美術館には18万人を超えるお客様にお越しいただいた。区にとっても大変ありがたいこと」とあいさつ。今年4月に東京都の小池百合子知事が来館、鑑賞したことにも触れ、「浮世絵が大好きな方で、私も同行して一緒にご案内したが、非常に興味深いというお話もいただけた。来年3月には(近くにある)江戸東京博物館がリニューアルオープンする。一緒になって江戸文化を広げていけたら」とスピーチした。

 今回の企画展は、北斎や浮世絵に関する多数の著書がある国立歴史民俗博物館前教授の大久保純一氏を新館長に迎えてから初めての開催となる。2016年11月に開館し、来年は10周年を迎えるだけに、大久保館長は「これまでに135万人を超えるお客様にお越しいただき、皆さまのご支援あってのこと。今年はNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で浮世絵にスポットが集まっている。こうした機会をとらえて、浮世絵の魅力と北斎の情報を発信していきたい」と抱負を語った。

 企画展の会期は8月31日(日)まで。開館時間は9時30分~17時30分(入館は17時まで)。休館日は毎週月曜日で、7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)は開館、7月22日(火)と8月12日(火)は休館となる。

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