バレーボールの国内最高峰「大同生命SVリーグ男子」の初代王者に、日本代表・高橋藍(らん、23)擁するサントリーが輝いた。リーグの2季目は10月24日に開幕。

2連覇を目指すチームの新主将には、加入2季目となる藍が就任した。母校の京都・東山高で主将を務め、全日本高校選手権(春高バレー)でチームの初制覇も経験。名門サントリーのけん引役を担う来季に向け、「リーダーシップ」について語った。

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 サントリーサンバーズ大阪でキャプテンを務めさせていただきます。シーズン中からコートでは自分が中心となって声掛けしたり、チームを引っ張る立場でやってきたので、スタッフに「主将をやってくれないか」と打診された時に役を快諾しました。来季はリーグ連覇も懸かっています。選手がストレスを感じない環境をつくる意識を持ちながら、チームを強くしていきたいです。

 小さい頃から(小学校の)クラスでもみんなを引っ張ることは苦ではなく、むしろ好きでした。昼休みにドッジボールをして遊ぶ時に率先してチーム分けをしたり。中学、高校と主将を務めてきて、東山(高)の時は普段から同期や後輩とも楽しく過ごしますが、同期のセッター(中島)健斗(現VC長野)【注1】には、一度、怒ったことがありましたね。

 健斗が(主力に次ぐ)Bチームに一度、行った時に、セッターがいないから(主力)チームも回らずボロボロで。それなのに健斗がBチームで淡々とやっている姿に、僕は「チームが回っていないのは誰のせい?」と詰め寄って。

普段は仲がいいんですけど、バレーボールでは厳しくゲキを飛ばすこともありました。でも同期は、今でもすごく仲がいいですよ。高校時代はコート内外でメリハリをつけるのが難しかったなと感じています。

 今のレベルだと人に言われてやるような選手はいませんが、僕はチームを引っ張る上で、信頼関係の構築を一番大事にしています。主将に求められるのは1にコミュニケーション力、2に行動力。試合で結果を出すのはもちろん、チームメートとコート外でもコミュニケーションを取って、信頼関係を築けば、コート上でも僕の声掛けによってチームに安心感を与えたり、冷静なプレーにもつながると考えます。チームメートが不満に感じていることを聞いて、それを解消するためにどうするか。監督に掛け合ったり、より良い環境を作るためには、行動力も主将の大事な要素になります。

 僕は澤村派【注2】ですね。プレーで引っ張るタイプかな。でもリーダーで、いいなと思うのは、ブラジル代表で主将を務めたブルーノ選手【注3】。コートですごく熱くて、どんな状況でもチームを熱くさせたり、仲間を興奮させることができる人。

流れが悪い状況で感情をむき出しにしながら声掛けして、チームの士気を引き上げるんです。これがなかなかできない。すごいなと思います。

 次はネーションズリーグ、世界選手権と、日本代表の一人としての戦いが始まります。代表活動はもう5年。(代表歴は)僕も中堅になってきます。新体制なのでロラン・ティリ監督や選手と信頼関係を築きながら、まずはチームにフィットすることが大事。チームを引っ張り、そして勝たせられる存在に定着していきたいです。

 【注1】中島は20年の春高バレーでセッターとして東山高の攻撃をけん引。エースで主将の藍とともに同校初制覇に導く。3月の大同生命SVリーグ戦ではVC長野の一員でサントリーの藍と再会し、初対戦した

 【注2】バレーボールを題材にした人気漫画「ハイキュー!」の登場人物・澤村大地。主人公の日向翔陽がいる烏野高バレー部の頼れる主将

 【注3】元ブラジル代表主将でセッターのブルーノ・レゼンデ(38)。

16年リオデジャネイロ金、08年北京、12年ロンドン銀と五輪で3つのメダルを獲得。5度目で8強で終えた昨夏のパリ五輪後に代表引退を表明

 兄・塁と打ちっ放し 〇…サントリーに加入して5月で1年。1季目を終えた藍は、短いオフを過ごす。近況は「ゴルフを始めた」と明かした。チームメートで兄・塁(25)と打ちっ放しに行くそうで「1球目から当たった。塁もびっくりしていました」という腕前のよう。「ドライバーでかっ飛ばします。バレーボールと違ってゴルフは屋外競技なので、新鮮で面白い」と心身ともに整え、勝負の代表シーズンに向かう。

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