音楽家で著述家のHALが「終戦の日」の15日、東京・渋谷のPLEASURE PLEASUREで無料ライブイベント「SUMMER LIVE~非戦~」を初開催した。

 同ライブは戦後80年に、音楽を通じて“戦わない選択”を伝えることを目的に企画されたもの。

沖縄・コザ(現沖縄市)で育ち、戦争の記憶と沈黙の中で生きてきた背景をもとに、「非戦とは思想ではなく、生き方の選択」と語るメッセージが場内を包み込んだ。

 スペシャルゲストとして元オフコースの松尾一彦を迎え、HALは14曲を披露。生前、縁のあった坂本龍一さんの「非戦」の思いを受け継ぎ、「武器より楽器を」「暴力より表現を」「支配より共鳴を」といった言葉が、メロディーと共に力強く響いた。

 HALは「私にとって『音楽』は心の予防薬です。今回のテーマ『非戦』は、決して国と国の戦争だけを意味するものではありません。人は誰しも、心の奥で何かと戦っています。パートナーとのすれ違い、家族や職場での衝突、地域社会の中での対立、日本国内での分断、世界規模での争い。その“戦い”はミクロからマクロまで、形を変えて存在しています」と説明。「ライブの中で『本当の非戦は、自分と戦わないことから始まる』というお話をしました。自分の心を責め続けたり、許せなかったりすると、その戦いは外側にも広がっていきます。逆に、自分との和解ができれば、その波は人にも社会にも届いていく。音楽はその橋渡しになれると信じています。

音楽が心の予防薬となり、聴いてくださった皆さんの日々の中で、小さな平和の芽が芽吹くことを願っています。お盆の最中にもかかわらず、多くの方が足を運び、静かに耳を傾け、共に歌ってくださったことは忘れられない時間となりました」と感謝した。

 次回は12月5日に東京・恵比寿ガーデンホールで行われる。

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