EXILEが3年ぶりとなるドームツアー「EXILE LIVE TOUR 2025“THE REASON”」(3都市5公演)を、11~12月にかけて開催する。パフォーマーのEXILE TETSUYA(44)は、左アキレス腱(けん)断裂からの完全復帰となる舞台へ意欲十分だ。

「ダンスで日本を元気に」という活動軸に加え、力を入れている教育、コーヒーの普及活動についても聞いた。

 EXILEの全国アリーナツアーを控えた3月に左アキレス腱を断裂してから、約5か月が経過した。

 「普段の生活には、もうほとんど支障がないです。全力でのパフォーマンスをするには足りない部分もあるので、リハビリとトレーニングの両方を並行してやっています」

 9月27日にはニューシングル「Get‐go!」を発売。11月15日にみずほペイペイドーム福岡で開幕するドームツアーで完全復帰を目指す。

 「福岡に向けて100%で踊れる体を作っています。今回は絶対に焦るのをやめよう、と。過去の経験、あとは自分の体と会話をしながら、本当にじっくり焦らず治しています」

 TETSUYA監修のDVD教材「中学校の現代的なリズムのダンス授業」(文部科学省選定)が、三重・松阪市内の公立中学校全11校に導入されることになった。

 「僕の教材を使ってくれるのはめちゃくちゃうれしかったですね。中学生たちとも交流しました。目の前で『Rising Sun』を踊ってくれた女の子は、多分僕のけがを知らなくて、『一緒に踊ってください』と言われた時に踊れなかったのだけがずっと心残りで。必ず次は治して、あの子と一緒に踊ろうと決めました」

 ダンスの教材づくりはもちろん、18年に修了した早大大学院での経験が生きている。

 「カルチャーショックを受けました。年齢関係なく、先生も学生も自分にないものを持っている人たちだらけ。これはダンス業界に使えるなとか、エンタメ業界に言えることもあるなとか。他業種の人たちの考えをミックスさせたことで、ダンス教材やEXPG高等学院を作れました」

 教育事業の原点は、14年にオランダの名門サッカークラブ・アヤックスを訪れたこと。世界的名選手だったFWベルカンプが、古巣に帰ってコーチとして教える姿に感銘を受けた。

 「昨年、GENERATIONSの中務裕太をEXPG高等学院の(後任)学長にしました。THE RAMPAGEの岩谷翔吾が中学生のカリキュラムを作ったり、マキさん(MAKIDAI)が精力的に全国のEXPGを回ったり。めちゃくちゃ素敵な形になっていると最近特に強く感じるようになりましたね。あの時見た『ベルカンプがいる…』という光景が今、EXPGの中にたくさん起こっているので、いい学校になっているなとすごく感じます」

 23年には、TETSUYAをリーダーとした子供向けプロジェクト「EXILE B HAPPY」を結成した。

 「メンバー全員が集結してのライブや音楽作りに付随して、いろんな自治体の皆さんとコラボしてダンスのワークショップを行います。大げさに言うと子育て支援というか、お父さん、お母さんが楽になる瞬間になったらいいなという感覚もあります。新しいグループが単体で走っていくというよりは、EXILEの活動の一つを抽出した形です。

これとEXPGやコーヒーの活動を組み合わせていくことで、僕のライフワークや方向性が確立してきたなと感じます」

 「コーヒーの活動」とは、コーヒーショップをプロデュースする事業。これまで10年間続けてきたが、今年7月にはブラジルの農園を視察した。

 「今回けがをしたことで、何かにチャレンジするきっかけをもらったと思って農園に行こうと。すごく面白かったですね。エンターテインメントの仕事をしている自分の影響力とか発信力を生かしながら、コーヒーの素晴らしさを伝えていきたいなと感じています。アフリカやインドネシアにも行ってみたいですね」

 来年はEXILEがデビュー25周年を迎える。

 「そういうグループに在籍できたことがすごく幸せです。僕も最初はファンとして憧れていて、それがメンバーになって、気づいたら一番上になっていくという不思議な感覚のグループにいるんです。僕のこの体験をつないでいければ、30年、40年となってくれるはず。だからこそ、一人一人がチャレンジするのはすごく大事」

 19年に著書「三つ編みライフ」で、複数の異なる活動を三つ編みのように組み合わせる生き方を提唱した。さらに活動を広げる意欲がある。

 「好きを趣味だけで終わらせず、ビジネスにしていくことにどんどんチャレンジしたいです。

それを三つ編みしていくことで、今まで見たことがない表現の仕方、誰もまねできないような表現の仕方を提示できる。自分の経験を改めて『三つ編みライフ2』として書いてみたいですね」

 あふれ出る探究心は、EXILEの活動にさらなる好循環をもたらすはずだ。(ペン・堀北 禎仁)

 ◆クルニのイメージモデル TETSUYAは今年2月から、「仕事でもプライベートでも着やすくて、ずっと好きだった」というファッションブランド「CULLNI(クルニ)」のイメージモデルを務めている。

 本拠地がLDHと同じ東京・中目黒にあることで親近感を持ち、店を訪れる中で同ブランドの安藤一彦社長と意気投合。「いつかクルニの服を着て、踊っている映像を」というブランドの構想を実現させた。「中目黒発なんだけど、安藤さんも世界で勝負したいという気持ちはあって、考え方がすごく似ています」。LDHの後輩アーティストにも愛用者が多いという。

 ◆EXILE TETSUYA(えぐざいる・てつや)1981年2月18日、神奈川・横須賀市出身。44歳。2007年、二代目J Soul Brothersに抜てき。09年EXILE加入。14年淑徳大の客員教授、16年美作大の客員准教授に就任。

18年早大大学院スポーツ科学研究科を修了。23年エンターテイナーの育成スクールである株式会社EXPGの社長に就任。コーヒーマイスターの資格を取得し、コーヒー店「AMAZING COFFEE」のプロデューサーを務める。

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