東京国際映画祭は27日、歴代邦画実写2位となる興収110億円超の大ヒットを記録している映画「国宝」の李相日監督と「ノマドランド」で米国アカデミー賞3冠のクロエ・ジャオ監督を今年度の黒澤明賞に選出したと発表した。
黒澤明監督の業績を長く後世に伝え、新たな才能を世に送り出していきたいとの願いを込めて贈られる賞。
選考委員は「フラガール」「悪人」「許されざる者」「怒り」「流浪の月」でも知られる李監督の受賞理由として「最新作『国宝』はカンヌ監督週間を始めとする多くの国際映画祭で上映されるとともに、日本国内でも幅広い観客層に支持され、商業的な成功をおさめました。今後の日本映画、そして世界の映画を牽引することを期待し、李相日監督に黒澤明賞を授与します」と説明した。
李監督は「御多分に洩れず、私の中でも黒澤明という名は永久に超えられない壁として君臨しています。映画をめぐる環境がいかに変わろうとも、人間の本質に迫るその力強さは色褪せることなく、映画が社会や個々の人生に多大な影響を及ぼすことを示しています。その名を冠した賞を背負う意味を、この先も自らに問い続けたいと思います。この度は誠にありがとうございます」と喜びを語った。
第38回東京国際映画祭は10月27日~11月5日に行われ、黒澤明賞の授賞式は11月3日に予定されている。