将棋の藤井聡太王座=竜王、名人、王位、棋聖、棋王、王将=に伊藤匠叡王が挑戦する第73期王座戦第1局が4日、シンガポール・セントーサ島「アマラ・サンクチュアリ・セントーサ」で指され、後手の藤井が66手で勝利した。

 対局は藤井のペースで進んだ。

53分の長考をした一手を「空振りみたいになって、嫌な展開にしてしまった」と反省したが「詰めろをかけて、何とか勝てそうな形になって」、勝利を確信したという。一方の伊藤は29手目で76分、33手目で33分と前半から考慮を重ね、苦戦を伺わせた。消費時間(持ち時間各5時間)は伊藤が4時間49分、藤井は4時間3分だった。

 海外対局はベトナム・ダナンで行われた棋聖戦以来2度目。藤井は「集中して指すことができたかなと感じている」と納得の表情を浮かべた。2日の現地入り後は観光を楽しみ、現地グルメを堪能した。この日の対局中の食事にはシンガポール名物のラクサ、マンゴーサゴ(東南アジアの冷たいデザート)などを注文。「対局以外でも貴重な経験ができた」と振り返った。

 3連覇に向けて白星発進。「第2局以降は先後が決まっての戦いなので、次に向けて準備をしていきたい」と意気込んだ。第2局は18日、兵庫・神戸市「ホテルオークラ神戸」で指される。

編集部おすすめ