4日に肺炎のため死去した歌手の橋幸夫(はし・ゆきお、本名・橋幸男=ゆきお)さんの告別式が10日、東京・文京区の無量山傳通院で営まれた。9日の通夜に続き、元NHKの宮本隆治アナウンサー(74)が司会を務めた。

 橋さんと公私に交流の深かった宮本アナは、おなじみのソフトな語り口調。2日間、落ち着いた安定の名司会ぶりも弔問客の気持ちをいやした。式終了後、スポーツ報知の取材に応じた。

 「橋さんとの出会いはNHK時代です。その後、親しくさせていただき、今回、少しでも“恩返し”できればと思い、お引き受けしました。橋さんは明るい方でした。とにかく湿っぽくならないよう心がけました」。しかし、出棺を見送る際、マイクを持つ手と声が一瞬、震えた。口を一文字に固く結び、こみ上げる悲しみをこらえる姿があった。

 橋さんのステージでも進行を担当してきた。「橋さんは歌唱力だけでなく、話術もすばらしかった。建築の設計士になりたかった人だけに設計図のように話す内容が、ご自身の中で構築されているようでした。

言葉が簡潔明瞭。アナウンサーの目から見てもすごい話術でした」と回想した。

 「恩返し」には宮本アナの人生を変えてくれた恩人、という意味も含まれている。「中学時代に橋さんが歌うモノマネをしたことがあったんですよ。振り返ったとき、私がマイクを持って、人様の前で話すきっかけを作ってくださった人なんです。ずいぶん年月が経って、ご本人の前でそのモノマネをしましてね。細かくダメ出しされ、どこがどのように違うか指摘されましたが」と懐かしみ、思い出は尽きない様子だった。

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