◆米大リーグ・ワイルドカードシリーズ第1戦 カブス3―1パドレス(30日、米イリノイ州シカゴ=リグレーフィールド)

 米大リーグのポストシーズン(PS)が30日(日本時間10月1日)、両リーグのワイルドカードシリーズ(WCS)計4試合でスタートし、カブス・鈴木誠也外野手(31)は本拠地・パドレス戦に「5番・右翼」で出場し、0―1で1点を追う5回先頭でシーズンから5戦連続弾となる同点ソロを放った。勝利に貢献し、地区シリーズ進出に王手を掛けた。

 一塁ベース手前で打球の行方を見届けると、鈴木は拳に力を込めて絶叫した。1点を追う5回先頭。94・5マイル(約152・1キロ)の直球を振り抜き、快音を響かせると、3万9114人の大歓声を切り裂くように、低空のライナー弾が左中間に消えた。一振りで流れを変えると、続くケリーが2者連発の勝ち越しソロ。初舞台でチームを先勝に導き「とりあえず最高でした。ファンの熱気もすごかったし、終始、鳥肌が立って、シーズン中に感じられない緊張感とか、すごく楽しんで終えることができた」と充実の汗をぬぐった。

 メジャー4年目で初のPSの舞台でも、勢いは止まらなかった。4戦5発でシーズンを締めていた誠也。MLB公式サイトで各種記録に精通するサラ・ラングス記者によれば、4戦連発でPSに進出したのは鈴木で4人目だが、初戦で本塁打を放って5戦連続としたのは史上初。今季32本塁打&103打点をマークした日本人最強右打者が、ここ一番で本領を発揮した。

 父として最高に格好いい姿を見せた。試合後、会見場には、長男と共に現れ、同席したボイドと一緒に親子参加した。

“メジャー流”の会見方式に、鈴木も「アメリカの野球のいいところでもあるし、(日本では)こうして記者会見に子供が来ることはない。いい経験になるし、夢を見させるのも親としての仕事でもある」とキッパリ。誠也の豪快な一発の後には「泣いていたみたい」という長男は、最後に「Go Cubs Go!」とチームおなじみのフレーズで締め、場内の雰囲気を和ませた。

 次戦に勝てば、ブルワーズとの地区シリーズへの進出が決まる。8月からメジャー自己ワースト38試合連続ノーアーチと不振に苦しんでいた誠也は、これで5戦6発と完全復活だ。「ポストシーズンはテレビで見ることしかできず、すごく悔しい気持ちでずっといた。今年はチャンスをもらえ、本当に長くこのチームでやりたい。(短期決戦は)とにかく勢いだと思う」。海を渡っても“神ってる”男は、波に乗り出したら手がつけられない。

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