◆第78回秋季全道高校野球大会室蘭地区予選 ▽Aブロック代表決定戦 苫小牧東4―3浦河(2日・苫小牧とましん)

 春夏通じて5度の甲子園出場を誇る古豪・苫小牧東が4―3で浦河を下し、準優勝した1997年以来28年ぶりの全道大会出場を決めた。13日の初戦で立命館慶祥と対戦する。

 ノーベル賞受賞者やオリンピアンを輩出してきた地元有数の進学校「ガタ高」が、令和初の全道切符を手にした。1点リードの9回2死満塁。最後は直前に左足をつり、ベンチ裏で治療を受けた成田怜生遊撃手(1年)がライナーをつかんだ。左翼スタンド後方には校舎。右翼スタンドには全校応援の生徒。苫小牧東ナインは“ホーム”球場で勝利の校歌を響かせた。

 昨夏の室蘭地区予選では最大4点リードから浦河に9―10で逆転負けしており、「何点差あっても安心できない。欲を出さずに1点ずつ」と前川護監督(48)。序盤から小技を絡めて得点を積み重ねた。4回は先頭打者の出塁から2者連続犠打で2死三塁とし、9番・今野和雄主将(2年)が左前に適時打。6回にも今野が2点適時打を放ち、着実にリードを広げた。

 昨夏同様、最終回に追い上げられ1点差に。

それでも、8回まで1失点と好投し、降板後再びマウンドに上がったエース右腕・藤川晴矢(2年)がリードを守り切り、3季通じても15年夏以来の地区突破。16年から指揮を執るOBの前川監督は、大会期間中の9月27日に義母・臼井ゆき子さんが他界しており、「野球が大好きな母で、ずっと応援してくれた。最後は背中を押してくれたのかな。帰って勝利の報告をしたい」と涙をぬぐった。

 1937年創立。旧校舎が「ガタガタ」で古かったことから、地元では「ガタ高」の愛称で呼ばれてきた。ノーベル賞を受賞した鈴木章氏や冬季五輪女子アイスホッケー日本代表選手らを輩出し、野球部も1965年センバツで8強入りの実績を持つ。20年からは主に未就学児~小学生を対象とした運動教室「ガタパーク」を実施するなど、伝統校として野球普及活動にも力を入れてきた。

 直近に実施した「ガタパーク」の最後には、子供たちに対し「絶対に全道に行きます」と宣言していた今野主将。約束を果たし、「全道でも東高校らしい野球で勝っていけたら」。準優勝で翌春のセンバツ出場(記念大会で道地区2枠)を果たした97年以来の1勝に向け、古豪がドームに乗り込む。

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