◆秋季高校野球神奈川県大会▽準決勝 横浜11―6東海大相模(5日・サーティーフォー保土ケ谷)

 今春センバツ優勝、今夏の甲子園8強の横浜が、東海大相模との名門対決を制して、決勝進出。4年連続27度目の秋季関東大会(18日開幕・山梨)出場を決めた。

4日には降雨のため、6-5の7回裏無死一塁で継続試合に。この日の再開後、同点に追いつかれたが、8回には4番・江坂佳史外野手(2年)が左中間へ満塁弾を放つなど、一挙5点で突き放した。

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 2日間にわたって争われた横浜と東海大相模の名門対決。横浜の応援席には見慣れた男たちの顔があった。エースで4番の奥村頼人や、前主将の阿部葉太ら、引退した3年生たちが黄色いメガホンを握り締め、大きな声で後輩たちの奮闘を後押しした。

 「楽しいです。でも現役ぐらい、練習はずっとやっています」

 そう語るのは奥村頼だ。9月に沖縄で行われたU-18ワールドカップでは、侍ジャパン高校日本代表の一員として準優勝に貢献した。那覇から横浜に戻ってからも、後輩たちと一緒に汗を流しているという。

 「いつも通りグラウンドに行って、アップに入って練習して。キャッチボールにピッチング…その後はジムにも行っています。体をもう一度整えたいので、トレーニング中心にシフトチェンジしてやっています」

 すでにプロ志望届を提出済み。

運命の瞬間は10月23日に訪れる。地に足をつけ、汗を流してその日を待つ。

 実は“弟分”の最速152キロを誇る新エース・織田翔希(2年)とは、今でも“一緒に”戦っている。秋季大会で織田が着用しているユニホームは、奥村頼がこの夏に着たものなのだ。

 「夏に使っていたユニホームをあげたら、使ってくれているんです。いい子だな、と思います(笑)」

 念のため、試合後の織田に確認を取った。

 「今日も、昨日も、大会が始まってからずっとです!」

 ピンチが訪れても、頼人さんと一緒に過ごした鍛錬の記憶が、力をくれる。横高のエースという、選ばれし者であることの恍惚と不安を抱いた者同士の絆。その強固さを感じた午後だった。(編集委員・加藤弘士)

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