バレーボール男子 国際親善試合 第1日(7日、東京・有明アリーナ)

 イタリア1部セリエAの強豪で欧州CL王者のペルージャが日本の大同生命SVリーグ王者のサントリーと夢の対決だ。観戦チケットは完売し、試合前はグッズを求めて長蛇の列。

野球でいう“ドジャース”、サッカーでいう“銀河系軍団”とも称されるスター集団は、第1セット(S)こそ失ったが、第2Sから本領発揮し、3Sを連取して逆転勝ち。日本代表主将でチームの主軸・石川祐希が全セットに先発し、4本のサービスエースを奪うなど勝負強さを示した。サントリーの主将・高橋藍との国内初対決も大注目を集め、超満員1万4001人の観衆が熱狂した。

 大歓声がなり止まない。第4Sで、ペルージャ・石川は勝利を確信すると、両手を広げてベンチの仲間を呼び寄せる。歓喜の輪ができた。イタリアセリエA11季目を迎える29歳のエースは「まずイタリアのチームとして日本でプレーするのは僕自身初めてで、皆さんの前でプレーできたことは一番うれしく思っている。その辺は日本代表とは別の気持ちで臨めたところはとても新鮮で楽しいところでした」と日本での勝利の味をかみ締め、感慨に浸った。

 “ユーキタイム”だ。0―1の第2S。競り合いの18―18から石川は、日本代表でサントリーのリベロ・小川智大でも防げないほどの強烈なサーブを打ち抜いた。客席の「ユーキ」コールがどんどん大きくなると次はコート左隅へ。

守備に定評がある藍が飛びついても届かない。圧巻の2連続サービスエースでグッと流れを引き寄せた。第3Sの25―24のセットポイントでも決め、この日はサーブ4得点。日本男子で初制覇した5月の欧州CLでMVPに輝いた実力者が、勝負どころで圧倒的な存在感を放った。

 日本代表同士の対決に大きな注目が集まった。同じOHの後輩・藍とはセリエAにいた23~24年季以来、国内では初対決。石川は「コートに入って意識はあまり。でも代表選手が対戦相手にいるのは新鮮で楽しくやらせていただきました」と振り返った。中大の先輩で代表セッター・関田誠大は手術から復帰。石川も「久しぶりにお会いすることができたのでホッとしている部分と少しうれしい気持ちになりました」と笑みを浮かべた。

 1月にペルージャとサントリーがパートナーシップ契約を結び、夢の対決が実現した。ペルージャは大会前日6日にイタリアから日本入り。

世界選手権を終えたばかりのイタリア代表セッター・ジャネッリらはフル出場とはならなかったが、見る人を楽しませながら今月中旬に始まる新シーズンに向けても準備をしている。「今季はスーパーコッパ、コッパイタリア、世界クラブ選手権、(セリエAの)プレーオフ、チャンピオンズリーグとあるので、5つ全部制覇できれば」と石川は真っすぐな目で掲げた。

 その前に8日に同会場で第2戦が行われる。「明日は今日以上のクオリティーのバレーができると思います。僕は日本の皆さんの前でプレーできるのは明日が最後になるのでいいプレーを見せたいと思いますし、僕自身もこの大会を楽しみたいと思います」と石川。母国での特別な一戦で思う存分、コートを駆け回る。

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