11月15、16日に東京Dで行われる侍ジャパン強化試合「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025日本VS韓国」のメンバー28選手が8日、発表された。都内のホテルで会見に臨んだ井端弘和監督(50)は来年3月のWBCを想定して韓国戦ではピッチクロック、拡大ベース、ピッチコムを採用すると明かした。

MLBではおなじみのルール、アイテムを国内組にもしっかり予習させて、WBC連覇に挑む。

 隙のない井端監督ならではの、転ばぬ先のつえだ。来年3月のWBCに備えた国内組選手の最終選考となる11月の韓国戦。出席した出場選手発表会見で、WBCをにらんだ予行演習として、採用が見込まれる「ピッチクロック」と「拡大ベース」を導入し、サイン伝達機器の「ピッチコム」を使用すると明言した。

 「ルール変更があった部分、日本にはない部分で戦わないといけないところが多々あると思いますので。ピッチャー、キャッチャーを含めて、自分のものにしてもらえればいいかなと思います」

 MLBではすでに定着したピッチクロック、拡大ベース、ピッチコムだが、NPBでは今季までに運用されておらず、国内組の選手にとっては、WBCでのプレーの障害となりかねない。井端監督はその事態を見越し、韓国戦はもちろん11月6日に宮崎市で始まる強化合宿や同10日の広島との練習試合でも準備が整えば、国際基準に積極的に慣れさせる考えだ。

 今回、従来の3人ではなくオリックス・若月、巨人・岸田、阪神・坂本、ヤクルト・中村悠と4人の捕手を選んだのも、ピッチクロック、ピッチコム対策を重視している証し。「国内で十分実績ある選手です。ピッチクロックなどを経験してほしいと4人にしました。ピッチコムも含めて、投手とうまく話し合ってやってもらえればいい」と説明。拡大ベースに関しては「各選手に経験してもらって、今までとの違いを確認してもらえればいいかなと。

今までと違うところでも、けがのないようにしたい」と11月の時点で練習や試合で大きさに慣れさせて、故障などを防ぐ狙いも明かした。

 「競争が第一です。国内組しかいないポジションはいくつかある。そこで勝ち抜いてほしい。誰がキャプテンというわけではなくて、どんどん引っ張ってもらいたい。1人でも多く戦力になってもらえればいい」

 ドジャース・大谷らMLB組とともに、WBC連覇を狙うメンバーに誰を選ぶのか。ピッチクロックなどへの対応力も含めて、指揮官が鋭い目でチェックする。(阿見 俊輔)

 ◆ピッチクロック MLBで試合時間の短縮を目的に23年から実施。現行ルールでは投手は無走者時は15秒以内、走者がいる場面では18秒以内に投球動作に入らなければならず、違反するとカウントに1ボールが加えられる。NPBでは未導入だが、24年のプレミア12では無走者の場合のみ、20秒以内というルールで採用された。

 ◆拡大ベース 選手同士の接触によるけが防止のため、MLBで23年から一~三塁に導入された18インチ(約45・7センチ)四方のベース。現在NPBで使用されている15インチ(約38・1センチ)四方に比べると、本塁と一塁の距離が約8センチ、一、二塁間と二、三塁間がそれぞれ約12センチ狭くなる。

日本でも6日に開幕したみやざきフェニックス・リーグで試験使用されており、来季公式戦からの導入を目指している。

 ◆ピッチコム MLBで不正なサイン盗み防止を目的に22年から導入されたバッテリーのサイン伝達のための電子機器。基本的には捕手が発信機から送った球種やコースなどのサインを、投手が帽子に付けた受信機から音声で受信する。投手からサインを送ることも可能。味方野手も受信機を装着すると情報を共有できる。NPBでは未導入だが、日本リトルリーグ協会が導入を検討中。

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