23日にプロ野球ドラフト会議が行われる。泉口(現巨人)や伊原(現阪神)を輩出した社会人のNTT西日本では、成瀬脩人内野手(24)らが指名候補に挙がっている。

勝負強い打撃と広い守備範囲で、都市対抗大会では2年連続8強入りに貢献した。大阪市に本拠を置く名門から、継続中では社会人チーム最長の5年連続NPB入りを目指す。

 華麗なグラブさばきでNTT西日本の遊撃を守るのは、入社2年目の成瀬だ。ドラフト会議に向けて「そわそわするけど、楽しみの方が大きい。プロに行きたいという強い気持ちで取り組んできた」と胸を張った。

 幼いころから巨人・坂本の背中を追っている。昨年の都市対抗大会は「9番・二塁」、今年は「2番・遊撃」で2年連続8強に貢献した。「ここ(東京D)でプレーしたら、もっと楽しいんだろうな」。憧れの人が、かつて主戦場とした守備位置に立ち、気持ちが高ぶった。「『第2の坂本』と言われたい」と、照れながら目標を掲げた。

 中学3年でシニアの日本代表に選出され、全米選手権ではベストナインとMVPに輝いた。家族に「寮生活で修行してきなさい!」と送り出され、愛知から東海大菅生(東京)に進んだ。

当時の若林弘泰監督(59)に打撃を買われて捕手から内野手に転向。「東海大菅生を選んだことで、今も野球をできている」と感謝は尽きない。

 ただ、東海大を含めた7年間は全国の舞台を踏めなかった。4年秋のけがなどで実績を残せなかったが、NTT西日本が熱心に誘ってくれた。「拾ってもらった。社会人野球で結果を出せば、プロも見えてくる」。1年目の春からスタメン出場し、2年続けて2大大会に導いた。河本泰浩監督(43)は「守備範囲が広くて送球が安定している。身体能力の高さは泉口より上」と評価する。

 NTT西日本からは、21年・野村(ソフトバンク4位)、22年・平良(楽天5位)、23年・泉口(巨人4位)、24年・伊原(阪神1位)がNPB入り。泉口とは入れ替わりで入社したが、試合の動画を見て激励してくれるという。伊原には「遠くへ行っちゃったな…」と、羨望のまなざしを向ける。

 社会人チームで継続中の連続指名は、NTT西日本の4年が最長(1位はNTT東日本。11~21年の11年連続)。「プロに入って、お世話になってきた方々に恩返しがしたい」。泉口のように、球界を代表する遊撃手になる。(藤田 芽生)

成瀬 脩人(なるせ・しゅうと)アラカルト

 ▽生まれとサイズ 2001年5月23日、愛知・あま市。24歳。176センチ、78キロ。50メートル走6秒2。遠投110メートル。右投右打

 ▽球歴 5歳から野球を始め、甚目寺(じもくじ)西小までは軟式の甚目寺キングナインズでプレー。甚目寺中では稲沢リトルシニアに所属。東海大菅生では1年秋からベンチ入り。

東海大では1年秋からベンチ入り。NTTフィールドテクノ大阪設備部に在籍

 ▽名前の由来 父・真一さんが当時、シュートボクシングにはまっていたため

 ▽好きな言葉 不撓(ふとう)不屈

 ▽休みの過ごし方 寮の風呂にあるサウナに入る

 ▽好きな食べ物 すしと焼き肉。好きなネタはえんがわ

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