◆2025 JERA クライマックスシリーズ セ・ファーストステージ 第1戦 DeNA6―2巨人(11日・横浜)

 「2025 JERA クライマックスシリーズ セ」の第1ステージ(S)が開幕し、3位の巨人は敵地で2位のDeNAに敗れた。先発の山崎は6回4失点と粘れず、打線も2安打で2点止まり。

12日の第2戦に敗れると敗退が決まる崖っぷちに追い込まれた。巨人はCS第1S初戦で敗れた過去2度でいずれも敗退。歴史を塗り替えるべく、阿部慎之助監督(46)は「ブルペン全部使っていくつもり」と、第2戦は自慢のリリーフ陣を総動員して逆王手をかける決意を示した。

 雨中の横浜決戦に屈した。大事な初戦を落として崖っぷちに追い込まれた。それでも試合後、三塁ベンチ裏では巨人ナインの「明日明日(あしたあした)!」との声が響いた。誰も下を向いていなかった。阿部監督は「もう一回勝つチャンスがあるので、そう思って。良かった人も悪かった人もしっかり反省して。切り替えるだけですね」と逆襲を宣言。負けられない第2戦に目を向けた。

 雨のため打撃練習は室内で実施。

午後2時5分の試合開始から照明が点灯した。雨が降ったりやんだりの悪天候の中、最初のチャンスは巨人。2回1死二、三塁で相手の内野は定位置、ゴロで1点入る状況だったが7番・リチャードが二飛に倒れた。8番・吉川が申告敬遠されて無得点。「流れを持ってこれそうで持ってこれなかった。いい形は作ったんだけど」。ケイから絶好の先制機を逃した。

 警戒していた相手4番・筒香には先制ソロを含む2発4安打3打点と打ち込まれた。「僕らも指示は出したんですけど、そのミスですかね」と阿部監督。対照的に巨人打線は丸、キャベッジ、泉口の1~3番が計12打席無安打。4番・岡本が全て走者なしで打席に立ち流れが悪かった。安打は4回の岸田右前打、若林2ランの連打2本だけ。

それ以降は無安打に終わった。

 横浜スタジアムは普段はビジター応援席の左翼席がCSではホームエリアとなり、外野席は全てDeNA応援席に。巨人応援席は三塁側上段のウィング席に変更された。360度青く染まった敵地で、高い位置からG党の必死の大声援が響いた。その期待に応えるためにも、このまま終わるわけにはいかない。今こそ、阿部監督が以前から掲げてきた「やってやろうじゃねえか!」の強い気持ちで立ち向かうべき時だ。

 リーグ優勝した昨年は東京DでのCS最終SでDeNAと対戦。1勝3敗と王手をかけられて迎えた第4戦、坂本らの執念のヘッドスライディングなどでジャクソンを攻略して踏みとどまった。第5戦も勝って逆王手。最終第6戦で敗れて敗退したが、土俵際から押し返した実体験は選手たちの心に刻まれている。今年もその粘り強さを発揮してさらに逆転までできるか。真価が問われている。

 仕切り直して臨む12日の第2戦、相手先発はジャクソン。岡本が今季の対戦打率6割3分6厘、吉川が同4割6分2厘、キャベッジが同3割8分5厘と好相性の打者が複数いるのは好材料だ。負けたら終わりの試合で阿部監督も「もう全員で行くつもりで。ブルペン全部使って行くつもりでやる」と総力戦の覚悟だ。たとえ劣勢でも最優秀中継ぎの大勢、最多セーブのマルティネスを投入するプランが浮上。杉内俊哉投手チーフコーチ(44)は「大勢、マルティネスで流れを作って逆転、というのも考えとしてちょっとありますから。できれば勝っている状態で送り出してあげたいと思いますけど」と“奥の手”を発動させることを示唆した。

 過去に巨人のCS第1S初戦敗戦は11年、16年と2度あり、いずれも敗退。黒星スタートからの連勝突破という新たな歴史を築くためにも絶対に勝つ。(片岡 優帆)

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