◆第78回秋季全道高校野球大会 ▽2回戦 立命館慶祥13―3苫小牧東=5回コールド=(13日・プレド)

 立命館慶祥が13―3の5回コールドで苫小牧東を下し、3年ぶりに8強入りを決めた。183センチ、84キロの主砲・吉川慎之助右翼手(2年)が公式戦初本塁打を含む2安打4打点と躍動した。

 一振りで相手に傾きかけた流れを止めた。1点差に迫られて迎えた4回。1死一塁で吉川は内角のカーブを強振。打ち上がった打球は、日本ハムがエスコンFに移転するまでNPB12球団の本拠地で最も高かった5・75メートルのフェンスを超えて右翼席に着弾。高校通算6号の一発に「打った瞬間に弾道も上がっていたので入ったかなという感触があった」とうなずいた。

 続く5回の第4打席では、コースに逆らうことなく外角球を左中間へ。2点適時二塁打とし、滝本圭史監督は「練習から柵越えを連発するので大味になることもあるけど、ホームラン打った後に左中間にツーベースを打ったのが彼の成長。すごいなと思って見ていた」と目を細めた。

 中学1年時に厚生労働省指定の難病「もやもや病」と診断され、1年ほど野球から離れる時期もあった。2度の手術を受け、環境を変えるために中学硬式野球の苫小牧ボーイズに移籍。平日も含めて毎日のように父・秀叙さんが札幌の自宅から1時間以上かけて送迎してくれたといい、「活躍することが恩返し。これからいっぱい恩返しできれば」。

投手としても左腕から最速138キロを投じるが、今大会は野手に専念。ベーブ・ルースに憧れる17歳は、感謝の思いを胸に次戦も打席に立つ。

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