巨人はCS第1SでDeNAに2連敗して敗退し、2025年の戦いが幕を閉じた。優勝した阪神と15ゲーム差をつけられたシーズンを検証する全3回の連載「阿部巨人V2ならず 誤算」。
* * * *
2月のキャンプは希望に満ちあふれていた。先発候補がシート打撃やブルペンで猛アピール。戸郷、山崎、井上、グリフィン、田中将、赤星、高橋礼、横川、堀田、西舘、又木、石川、平内、京本、森田と次々に名前が挙がる大激戦に、阿部監督も「こちらが迷っちゃう」とうれしい悲鳴を上げていた。先発不足に苦しむ状況など想像できなかった。
現実は厳しかった。昨年15勝3敗で貯金12の菅野がメジャー移籍。「菅野の穴をどう埋めるかが課題」と掲げ、開幕ローテは戸郷、グリフィン、石川、井上、山崎、田中将でスタートした。だが年間通して稼働したのは山崎だけで戸郷は8勝9敗と苦戦。4勝8敗の井上、6勝9敗の赤星は故障でCSメンバー外で、グリフィンもCS前に右膝の治療のため帰国した。
全体的に若くて潜在能力が高く、体調が万全なら飛躍が期待された先発陣。だが、その多くが故障に泣いた。
不振で4月と6月に2度の2軍降格があった戸郷。ともに1か月後に復帰したが「見切り発車」感は否めなかった。特に最初の抹消時は2軍で状態が戻ったわけではなかったが、1軍の先発事情的に呼ばざるを得ない負の連鎖だった。他球団スコアラーが「特に何も変わっていないですね」と分析していた通り、2か月後に再降格。最後まで本来の姿を取り戻せなかった。
苦しい状況を打破しようと、リリーフの西舘を交流戦から先発に配置転換するなど試行錯誤した。岡本の長期離脱で打線が得点力不足に苦しむ中、7月までは先発防御率2点台と踏ん張った。だが、岡本復帰で得点力が向上した8月以降、反比例するように先発陣が急失速。